ジュエルオーキッドはその名の通り、宝石のようにキラキラとした葉をつける人気の植物です。
和名では宝石蘭の名前で親しまれる、洋ランの仲間です。
蘭は一般的に花を楽しむものですが、ジュエルオーキッドは花よりも美しい葉を楽しむ植物です。
少し神経質な植物ではあるものの、栽培環境を整えれば比較的簡単に育てられるのも魅力です。
そこで今回は、ジュエルオーキッドの魅力や育て方のポイントをご紹介します。
※本記事はジュエルオーキッドの代表種であるマコデス・ペトラについて解説します。
Contents
ジュエルオーキッド(マコデス・ペトラ)の特徴
科名 | ラン科 |
---|---|
属名 | マコデス属 |
原産地 | 東南アジア全般 |
栽培難易度 | 普通 |
生長速度 | 遅い |
ジュエルオーキッドは固有の植物名ではなく、美しい葉を鑑賞して楽しむ洋ランの総称になります。
一般的に日本で流通しているジュエルオーキッドは「マコデス•ペトラ」という植物です。
マコデス・ペトラも開花期には小さなクリーム色の花を咲かせますが、あまり花については触れられず、美しい葉をイメージされる方が多いかと思います。
自生地では熱帯雨林のジメジメとした高温多湿の環境で自生しており、乾燥や強い陽射しが苦手な植物です。
宝石に例えられる葉柄は葉脈で、葉全体にフィラメント状に広がっています。
この美しく輝く葉脈は暗い環境下でも効率的に光合成を行うため、そして虫を呼び寄せ、受粉するためのものだと言われています。
株の選び方
比較的耐陰性もあるため、室内の暗い場所で管理されている場合がありますが、全く光を浴びていないとひょろひょろと間延びした不恰好な株になってしまいます。
購入の際は葉にツヤとハリがあり、全体的に引き締まった株を選びましょう。
また、園芸店だけでなく、多湿な環境を好む性質からアクアリウムやパルダリウムなどに好んで使われることが多いので、アクアリウムショップなどでも手に入ります。
なかなか見つからないという方は、園芸店だけでなくそちらも覗いてみてください。
購入の際の注意点
マコデス・ペトラは平成28年に特定国内希少動植物種に指定され、許可なしに販売・譲渡ができない植物です。
販売・譲渡をするには環境省に許可を取る必要があります。
マコデス・ペトラは環境に馴染めば比較的簡単に増やすことができるので、個人間の売買も多く行われていますが、認可を得ていない場合もあります。
知らなかったでは済まされないので、購入の際は必ず許可を得ているショップから購入するようにしましょう。
ジュエルオーキッド(マコデス・ペトラ)の育て方
環境の変化に弱く少し神経質な植物ではあるものの、環境に馴染めば比較的簡単に育てることができます。
育てる上でのポイントをいくつかお話しします。
置き場所
マコデス・ペトラを上手に育てるポイントは温度や湿度、日当たりなどの栽培環境を一定に保つことです。
自生地での生育環境を整えてしまえばあとは特に何かすることはなく、比較的簡単に育てることができます。
マコデス・ペトラは熱帯雨林の中でジメジメとした環境で森の木漏れ日を浴びて自生している植物です。
そのため、乾燥と強い陽射しが苦手です。
また、栽培適温は25度程度とされ、極端な寒さと高温も嫌います。
そのため、屋外での管理は難しいので基本的に環境の変化が少ない室内での管理が無難です。
鉢のまま育てる場合は、適度に水やりをして湿度を保ちつつ、直射日光を避けレースのカーテン越しの陽が当たるように調整します。
ただこれだと管理が手間なので、個人的に1番おすすめな栽培方法は、水槽やガラスなどのポットの中で栽培することです。
水槽やポットに蓋をすることで保湿することができます。
(湿度は70%程度が適切と言われています)
また、植物育成用ライトを用意できれば一定の光と温度を保つことができるので尚良いかなと思います。
ただ完全に密閉してしまうと、ライト(もしくは太陽光)の熱で容器内の温度が上がり、蒸れてしまうので注意が必要です。
蓋を少し開けて適度に通気性を良くしておきましょう。
水やり
ある程度の湿度は必要ですが、常に土が湿った状態が続くと根腐れを起こします。
用土(一般的には水苔)が乾いたら与えるようにします。
用土が乾燥してもすぐに枯れることはありません。
乾燥してくると少し葉が垂れてきますが、すぐに水を与えれば問題ありません。
ガラス容器やパルダリウムなどで育てている場合は湿度が保たれているので、定期的に霧吹きを使って根元に吹きかける程度で問題ありません。
また適度に葉水をして湿度を高めることで調子良く育ちます。
肥料
自生環境では特に栄養分の少ない場所で生育していると言われています。
そのため基本的に肥料は必要ありません。
生育を高めたいという場合は、生長期である初夏に1ヶ月に1回程度薄めた液体肥料を与えます。
用土
栽培下においては水苔を使用するのが一般的です。
水苔のグレードは、最高級のものを使用しなくてもAA、AA+の普通に手に入る水苔で十分だと思います。
植え替え
生長も緩やかななので植え替えをする必要もあまりありません。
たまに根の状態を確認して根詰まりを起こしそうであれば植え替える、程度の間隔で問題ありません。
もしくは過湿状態が続くと水苔にカビが発生する場合があります。
軽度な場合は洗い流す程度で問題ありませんが、あまりに広がってしまった場合は植え替えを兼ねて新しい水苔に変えましょう。
植え替えを行う場合は、
- 根の回りに付いている古い水苔を落とす
- 新しい水苔を水で戻し、根の回りを覆う
- 株を鉢の中心に置き、その回りをさらに水苔で埋める
- 風通しの良い、半日陰で管理する
の手順で行います。
植え替えは、暖かい春から初夏が適しています。
冬越し温度
寒さにはとても弱いので出来れば15度程度、最低でも10度は保てるようにしましょう。
5度以下は枯れる危険性が高いです。
病害虫
病気・虫共に特にかかりやすいものはなく、そういった意味では比較的丈夫な植物です。
増やし方
株分けが一般的です。
葉が2〜3枚付き、且つ根が生えている子株を切り分けて、あとは植え替えと同じ手順で別の鉢に植え替えると増やすことができます。
まとめ
少々神経質な植物ではあるものの、慣れてしまえば簡単に育てられ、1年を通して宝石のような美しい葉を楽しめる植物です。
ぜひチャレンジしてみてください。
- 宝石のような美しい葉を楽しめる
- 洋ランの仲間
- ジュエルオーキッドの代表種はマコデス・ペトラ
- 種の保存法によって管理されている
- 直射日光を避け、多湿な環境を用意する
- 水槽やテラリウム内で育てると管理が楽
- 多湿を好むが水の与えすぎは根腐れの原因になる
- 肥料はほぼ必要ない
- 病害虫のリスクも低い
- 生長はとても緩やか
- 株分けで増やすことができる