本記事ではコーデックスの王様、Operculicarya pachypus「オペルクリカリア・パキプス」をご紹介いたします。
コーデックス・灌木と聞くと、このパキプスをまず思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
今日はそんなパキプスが…
どんな植物なのか、どんな特徴がありなぜ人気なのか、またどんな育て方をすれば良いのかについてご紹介いたします。
この記事の内容はYouTubeでもご紹介しております。
オペルクリカリア・パキプスはどんな植物
まずはパキプスがどんな植物なのかご紹介いたします。
パキプスはマダガスカルに自生するウルシ科のコーデックスです。
そしてパキプスはオペルクリカリア属に分類され、その仲間には8種あり、そのうちの7種がマダガスカルの固有種となっています。
- Operculicarya borealis
- Operculicarya calcicola
- Operculicarya capuronii
- Operculicarya decaryi
- Operculicarya hirsutissima
- Operculicarya hyphaenoides
- Operculicarya multijuga
- Operculicarya pachypus
オペルクリカリア属は現地では薬や食用、建材として、またロープ作りや伝統的な儀式などに使われているそうです。
このうち特にデカリー、ヒファエノイデス、およびパキプスは盆栽タイプの多肉植物としてコレクターに人気があり海外へ輸出されています。
ただ今の塊根ブームによる乱獲のため個体数が激減しているので、citesリストのⅡに記載され、その希少性が増しています。
デカリーやヒファエノイデスもそうですが、パキプスの流通量少なく高額で取引されているのはこれが理由でもあります。
話を戻しますが、属名のオペルクリカリアはラテン語で「ふた(operculum)」とギリシャ語で「木の実(karyum)」を合わせた合成語です。
そして種小名のパキプスは、ラテン語で「ずんぐりした(pachus)」と「足(pous)」を意味する言葉を合わせた合成語になります。
この名前は同じく人気のコーデックスであるパキポディウムと同じような意味を持ちます。
そんなパキプスは、マダガスカル南西部のトゥイアラ州の標高10-500m程度の場所に見つかり、乾性林や落葉樹林の中の岩や砂礫の上に自生しています。
パキプスは灌木の仲間で成熟した株でもおよそ1m程度にまでしか生長しません。
一方その名前の由来通り塊根(塊茎)短く太く肥大化し、独特な樹形を形成します。
大株になると白〜クリーム色の小さな花を咲かせます。雌雄異株なのでタネを採取するにはそれぞれの株が必要になります。
お伝えしたように希少な植物でありつつ生長も遅く、長く生きる植物ですので入手した場合は大切に育ててあげたいですね。
パキプスの特徴・魅力
続いてパキプスの特徴や魅力をみていきたいと思います。
まず1番の特徴は名前の由来にもなっている、存在感のあるどっしりとしたバレル型の幹です。
このでっぷりとした幹は独特な白味がかったブラウンカラーをしており、その表皮はゴツゴツとしたコルクのような見た目、肌触りをしています。
夏型のコーデックスであり、生長期には旺盛に枝を伸ばしグングンと伸びていきます。
その枝からはこの迫力ある幹からは想像できないようなと、ても小さく丸い葉っぱを多く茂らせます。
他のコーデックスもそうであるようにこういったギャップがコーデックスの魅力のひとつだと思います。
太陽光に浴び、また水をかけると葉がキラキラと輝き、ゴツい幹と繊細な葉のコントラストはいつまでも見ていられる美しさです。
また寒くなると日本の落葉樹のように紅葉しますので、その時期にしか見られない儚げな美しさもあるかなと思います。
管理面に関しては根がしっかりと活着した株であればとても丈夫ですので、コーデックスビギナーの方でも問題なく育成を楽しめるはずです。
形状はさまざまありよく見かけるバレル型から分頭タイプのものや低重心のものなど同じ形のものは一つとしてなく、お伝えしたように丈夫な植物ですので、一生の友として好みの形の株をぜひ探してみてください。
また種も出回っていますので、実生で育てるのもよいですし、剪定した枝で挿木も出来るので、いきなり大きな株を買うのはちょっと…という方はまずはそういった株をお選びになり、育成を楽しんでください。
パキプスの育て方
続いて基本的な育て方をご紹介いたします。
まず難易度ですが、先ほどもお伝えしたように発根ししっかりと活着した株を選べば株自体はとても丈夫なので管理はそこまで難しい植物ではないと思います。
よくパキプスが難しい、枯れてしまったと聞くのは発根管理に失敗することが多いからです。
根を切られ輸入した株を選ぶとプロや慣れた方でも発根せずに枯れてしまうことが多々ありますので、ビギナーの方は発根済み、もしくは現地で再度発根させてから送られてくる「現地発根株」をお選びになると良いかと思います。
もちろんその分高額にはなりますが、貴重なパキプスを何株も枯らしてしまうことはとても残念なことですので、信頼できる販売者さんからご購入されることをおすすめいたします。
お伝えしたようにいわゆる山採りと呼ばれるものを発根させるのは中々難しいので、ある程度経験を積んでからの方がおすすめです。
続いて置き場所ですが、これは他のコーデックスと同様に風通し良く、しっかりと日の当たる場所を選んでください。
そうすることで幹がガッチリとし、引き締まった株に生長します。
ただ葉が薄くとても繊細なので、急に強い陽射しに当てると葉がすぐに焼けてしまいます。
店内で管理されていた株を購入し、自宅に持ち帰り屋外に出すとあっという間に焼けてボロボロと落ちてしまいます。
そのため屋外で管理する場合は、急に直射下に置かずまずは40%程度遮光下で管理し、徐々に慣らしてから陽に当ててあげると安心です。
真夏の間はそのまま遮光した環境で管理した方が枝も旺盛に伸び、葉も多く茂るのでおすすめです。
秋になり陽射しも柔らかくなってからは寒冷紗など遮光ネットを外してしまって問題ありません。
続いて水やりについてですが、パキプスは比較的水分を好む灌木ですので、根が繊細で根腐れを起こしやすいグラキリスのようにそこまで神経質にならなくて大丈夫です。
基本的には(生長期は)土が乾いたら与えるという頻度で行いますが、真夏などは株の状態を見ながらですが、2日、3日に1回など頻繁に与えた方が旺盛に生長していきます。
場合によっては雨曝しの方が調子良く育つかもしれません。
根だけでなく、葉水も好きなので定期的に葉にも水を与えると良いかと思います。
当店では暑い時期はホースのシャワーを使ってバシャバシャと日々かけているくらいです。
秋になり葉が落ち始めたら間隔をあけていき、冬場は休眠するので断水気味に管理します。
また寒さには弱いので暖かい室内で管理します。
その際完全に断水してしまうと翌シーズンの生長期のスタートが悪くなるので、冬場でもよく晴れた日などを狙って月に1,2回程度少量の水を与えると良いかと思います。
日頃の手入れとしては、生長期は枝が旺盛に伸びていきますので定期的に剪定をするとコンパクトな株に仕立てることができます。
まずはグングンと伸ばして翌シーズンからガツガツ切って好みの形に仕立てるのも面白いかと思います。
剪定した枝は先ほどお伝えしたように挿木も出来ますので、栽培もお楽しみいただけます。
最後に
今回はコーデックス紹介シリーズ第2弾として「オペルクリカリア・パキプス」をご紹介しました。
コーデックスにご興味があれば、王様と呼ばれるこのパキプスをぜひ一度育ててみてください。
パキプスは他のコーデックスとはまた違う存在感がありきっと気にいると思います。はらしい独特な樹形や雰囲気を楽しめる植物ですので気になる方ぜひチェックしてみてください。
では今回はこれで以上になります。