本記事では万物想という美しい和名を持つ多肉植物の「チレコドン・レティキュラーツス」をご紹介いたします。
チレコドン・レティキュラーツス(以下、万物想)がどんな植物なのか、どんな特徴がありなぜ人気なのか、またどんな育て方をすれば良いのかについてお話しいたします。
この記事の内容はYouTubeでもご紹介しております。
チレコドン・レティキュラーツスはどんな植物
まずは万物想がどんな植物なのかご紹介いたします。
万物想はベンケイソウ科チレコドン属に属する冬型のコーデックスです。
チレコドン属は種類が多いので全ては紹介しきれませんが、その中で有名なのが以下になります。
- Tylecodon reticulatus(万物想)
- Tylecodon wallichii(奇峰錦)(ワリチー)
- Tylecodon pearsonii(白象)(ぺアルソニー)
- Tylecodon paniculatus(阿房宮)(パニクラーツス)
- Tylecodon buchholzianus(ブックホルジアヌス)
和名が付けられているのは日本で人気があり、昔から良く栽培されてきたからです。
属名のTylecodonは「釣鐘状の突起」を意味し、古代ギリシャ語の突起(tyos)とベル状の、釣鐘(codon)を合わせた合成語になっています。
種小名のreticulatusはラテン語で「網目状の」という意味を持ち、これは万物想の最大の特徴である網目状に残り続ける花柄(かへい)に由来しています。
余談ですが、チレコドンと同じような名前のコチドレンという属があります。
実はこの2つはもともと同じ属として分類されていましたが、チレコドンの花の特徴や葉が落葉することなどから独自の属名を与えられ、1978年に分けられました。
名前が似ているのはコチドレンの文字を入れ替えて作られたからという理由があります。
さて、そんな万物想ですが、自生地は南アフリカとナミビアにまたがるナマクアランドと呼ばれる雨の少ない乾燥した荒野の丘陵や砂礫の上に自生しています。
ナマクアランドといえば、万物想だけでなく多くの多肉植物が自生する多肉植物の聖地と呼ばれる地域ですので一度は行ってみたいですね。
チレコドン・レティキュラータスの特徴・魅力
続いて万物想の特徴や魅力をみていきたいと思います。
まず1番の特徴は名前の由来にもなっている、枯れた花柄が網目状に残り続ける奇妙な姿です。
花柄が残り続けるため花が咲くたびに細長い針金のような花柄が増えていくので、年を重ねるごとにその魅力が増していきます。
花はクリーム色のような小さくベル状の形をしており、多くの場合休眠期前に開花します。
幹や茎は日本の松のようにゴツゴツとした樹皮に覆われ、生長すると剥がれていきます。
葉も独特で、枝の先から緑色の多肉質のグミのような見た目の葉を展開します。
このように花、花柄、幹肌、そして葉とすべて独特な姿をしており、まさに珍奇植物と呼べるコーデックスだと思います。
チレコドン・レティキュラーツスの育て方
続いて基本的な育て方をご紹介いたします。
これまでご紹介してきた夏型のコーデックスとは違い、冬型なので生長期は秋から春にかけてになります。
ただ冬型といっても冬場はほとんど生長はせず緩慢になります。
置き場所と水やりですが、秋口から春にかけては日当たりと風通しの良い場所に置きます。
しっかりと日光に当てて乾燥気味に育てることで引き締まった株姿に生長していきます。
乾季と雨季に別れた場所に自生している植物ですので、水やりは土が乾いたらたっぷりと与えるというメリハリのある灌水をします。
ただ休眠明けに急に多くの水を与えると腐る可能性があるので徐々に増やしていくことをおすすめします。
冬場は比較的耐寒性があるので寒冷地などを除けば0度くらいまでは耐えますが、気温が下がる時は室内に取り込んだ方が安心です。
そのまま屋外で越冬する場合は冷たい風や雨や雪に当たると厳しいので、ハウス内など雨よけがある場所で管理されることをおすすめします。
冬場も日照が少ないと葉が伸びてしまうのでできる限り陽に当ててあげると良いかと思います。
春になり暖かくなってくると徐々に生育は緩慢になり、葉が落ちていきます。
このタイミングで管理を切り替え、半日陰や遮光下に移します。ただいずれにせよ蒸れには気をつけたいので必ず風通しの良い場所を選んでください。
また水やりも減らしていき休眠期は断水気味に管理します。
ただ根がとても繊細なので全く水を与えないと細根が枯れてしまうので、涼しい時間帯に少量の水を用土に与えしめらすと次シーズンの立ち上がりも良くなります。
用土は乾きやすく、排水性の高いものを使った方が安心です。
増やし方としては、実生と挿木があります。
最後に
今回は「チレコドン・レティキュラータス」をご紹介しました。
まさに珍奇植物の名前にふさわしい植物であり、生長するごとに魅力も増していきますのでとても魅力的なコーデックスのひとつだと思います。
ぜひ実際に手に取りこの魅力を味わってください。