本記事では、
・そもそも葉焼けはなぜ起こるのか
・育成ライトのNGな当て方5選
をご紹介いたします。
なお、この動画の内容はYouTubeでもご紹介しております。
Contents
そもそも葉焼けはなぜ起こるのか?
アガベが葉焼けを起こす原因の多くは光の当てすぎか、熱のどちらかだと思います。
日光要求の強いアガベと言えど吸収できる光の量には限度があります。
必要な光、つまり光合成に必要な光となりますが、それ以上の光は余ってしまい、「活性酸素」という物質が発生します。
この結果、細胞は死んでしまい葉が部分的に変色したり、枯れる…という葉焼けの症状が出てきます。
通常であればこの活性酸素を除去する酵素を持っているのですが、植物の育成に重要な水や風とのバランスが悪く、たとえば全然水やりをしないで長時間ライトを当てたり…などストレスを与えると光合成ができなくなり、活性酸素の除去が追いつかなくなります。
また前述したように熱(高温)も葉焼けの原因になります。
植物が耐えられる限界温度を突破すると、細胞が弱る、最悪枯れるということに繋がります。
太陽光、育成ライト関わらず特に夏場など急に強い光に当てると葉焼けを起こすというのはこれが主な原因になります。
この2つを頭に入れておき、次のNGな当て方をお聞きいただけると失敗が少なくなるかなと思います。
育成ライトのNGな当て方5選
では早速NGな当て方を5つ挙げると…
- 照度計を使っていない(ざっくり当てている)
- 真上から当てていない
- 光・水・風のバランスが悪い
- 温度が高い
- 付けっぱなし
になります。
それぞれご説明いたします。
照度計を使っていない(ざっくり当てている)
まず大前提になるのですが、育成ライトを使って管理するならば照度計は必須アイテムだと考えています。
本来であればPPFDを測れる装置があれば良いのですが、高額ですし照度からざっくりPPFDを割り出すこともできるので必要ないかなと思います。
照度計であればネットで安く手に入るのでお持ちでない方は購入されることをおすすめいたします。
必要な理由ですが、育成ライトを使って失敗してしまった…という方の多くが何センチの距離から当てれば良いですか?とお聞きになります。
残念ながら育成ライトは種類によって光の強さは異なりますので、一概にこの高さから当てれば良いというものはありません。
例えばどちらも人気の育成ライトであるアマテラスとハス38スペック9をそれぞれ40cmからの距離から当てたとします。
そうするとこんなにも光の強さに差があります。
AMATERAS20W:18,050lx
HASU 38 spec 9 :76,300lx
AMATERAS20W:406μmol/m2・s
HASU 38 spec 9 :1,224μmol/m2・s
ここまで差があるので、アマテラスと同じ高さでハス38スペック9を使ったりすると葉焼けを起こす可能性が出てきます。
そのため株から何センチといった高さで位置を決めるのではなく、自分がどれくらいの光の強さで管理するかをまず決め、そして照度計を使って数値をもとにしてライトの高さを調整することが大事です。
また電球タイプの育成ライトの場合、少しでもライト直下からズレると一気に光は弱くなります。
見た目では光が当たっているように見えても実は全然当たっておらず、徒長や樹形が乱れてしまった…。
なんてことになりかねませんので、植物の置き場所を変えた場合は都度測ることをおすすめいたします。
真上から当てていない
育成ライトを使用するならば基本的には真上から当てることをおすすめします。
樹形が締まらない…乱れる…という方の多くが育成ライトを斜めから当てているケースも多いです。
光を斜めに当てるとそちらに向かって徒長し、株姿が乱れます。
真上からしっかりと光を当てることで短葉で低重心の美しい株姿になっていきます。
また株全体に光が当たっているかどうか確認することも大事です。
先ほどもお伝えしましたが、電球タイプのLEDは特に照射範囲が狭いです。
そんな時もしっかりと株に光が当たっているか確認するために照度計が役立ちます。
生長点を中心にしてしっかり光が当たっているか計測してみることをおすすめします。
光・水・風のバランスが悪い
続いて大事なのが光と水、そして風のバランスです。
ちょうど先日アガベが葉焼けをしてしまった…という方のお話を例にあげさせていただくと…
ライトと植物までの距離は30cmくらいから当て、水やりは月1度程度で、サーキュレーターは回していたのに葉焼けをしてしまった…。
とおっしゃっていました。
この方も照度計を使っておらず、30cmの距離で当て水やりは月1程度で良いとどなたかに教わったのだと思います。
どのライトをお使いだったのか分からなかったのですが、多分これは光が強すぎる中で水やりの頻度が少なすぎたことが原因なのだと思います。
極端に言えば、植物は光・水・風の3つのバランスが良いと綺麗に育ちます。逆にどれかが強すぎる・弱すぎると調子を崩します。
当店でも月1程度の水やりの個体もありますが、それをするには光もそれに伴い弱くし、風も弱くするという調整が必要になります。
このように常に光・水・風の三角形が正三角形になるようにして管理すると失敗も少なくなるかと思います。
温度が高い(一定でない)
植物育成ライトを使った場合特に意識したいのが熱を下げることだと思っています。
室内の暖かい環境でライトを使うと結構な熱が植物に伝わります。
その状態で強い光を当て続けるとこれまた葉焼けを起こします。
しっかりと風を送って熱を下げるためにも風通しは必要になりますので、ライトとサーキュレーターはセットと考えておいた方が良いと思います。
また株数が多くなると密になり、せっかく風を送っても行き届かないということもありますので、株ごとある程度感覚を開けて風の通り道を作ることをおすすめします。
付けっぱなし
乾燥した厳しい環境下で自生しているアガベを含む多肉植物の多くは、一般的な植物とは光合成の仕組みが異なります。
昼間は水分の蒸発を防ぐために気孔を閉じていて、涼しい夜間帯に気孔を開き二酸化炭素を吸収し、また明るくなってから蓄えていた二酸化炭素(厳
密に言えばリンゴ酸)を使って光合成をするというサイクルをしています。
この仕組みを持つ植物をCAM植物と言います。
つまり、光が当たる時間帯と光のない時間帯でそれぞれ別の動きをしているということになります。
そう考えると24時間ライトを付けっぱなしでいるとCAM植物は二酸化炭素を吸収できず逆に成長出来なくなってしまいます。
もちろん吸収できる光エネルギーを上回り葉焼けの原因にも繋がります。
旅行などで家をあけるという場合は付けっ放しにせず、タイマーなどで管理することをおすすめします。
タイマーはアナログタイプのものであれば安く手に入りますので、普段からタイマー管理しておくととても楽なのでおすすめです。
まとめ
今回は植物育成ライトのNGな当て方5選を共有させていただきました。
最後に今回の内容をもう一度まとめると…
- アガベが葉焼けを起こす原因の多くは光の当てすぎか熱のどちらか
- 照度計を使っていない(ざっくり当てている)
- 真上から当てていない
- 光・水・風のバランスが悪い
- 温度が高い
- 付けっぱなし
になります。
ぼくにわかることであればお答えしますので、ご質問のある方はコメントやインスタグラムのDMにご連絡ください。