本記事では冬場室内でアガベを管理する際に当店で意識していることを共有いたします。
ちなみに今回は単に冬越しさせる方法ではなく、冬場でも休眠させずに成長を続けさせる方法になります。
越冬させるだけであれば必要のない設備や環境になると思いますので、冬場でもアガベを成長させたいと思う方に向けてお話しさせていただきます。
内容なあくまで私の経験、環境を基にした内容になりますので必ずにも同じやり方をすれば大丈夫ということではありません。
そのためひとつの参考としてお聞きいただき、ご自身の環境に合わせて調整していただけると幸いです。
この記事の内容はYouTubeでもご紹介しています。
温度
成長を続けさせるには何よりまず温度が必要です。
ELBAZ FARMの事務所は植物のための部屋ですのでエアコンを使って1年中室温を管理しています。
冬場は日中で26度程度、朝晩でも15度を切らない程度にしています。
もっと上げてもいいですが、そうすると今度は人間が過ごしにくくなるのでこれ以上は上げないようにしています。
ただライトの熱もあるので、株回りの温度は室温よりも若干高くなっていると思います。
さらに高い温度が必要な発根管理中の株、播種した株などは簡易温室に入れてヒーターマットを使って鉢内の温度を上げるようにしています。
もちろん、春から秋のようにガンガン成長することはありませんが、このくらいの温度を保っていると休眠期でも成長を続けます。
光
続いて大事なのが光です。
光が足りない状態で温度だけ上げると休眠せず徒長します。
もし十分な光を確保できないという場合は中途半端に温度を上げて成長を続けさせるよりは、割り切って休眠させてしまった方が良いと思います。
当店もすべての株を室内で管理することは難しいので、休眠させる株は別の温度管理していない場所で管理するように分けています。
光の強さはどのように育てたいかにもよりますが、室内管理においては個人的にはあまり強い光を当てることはあまりおすすめしません。
植物栽培において大事なのは光・水・風のバランスですが、自然界のように室内でそのバランスを取るのは中々難しいことです。
バランスが崩れ何か一つが強くなる、もしくは弱くなるというのは何かしらの問題を引き起こします。
たとえばLEDを使った場合、光が強くなりがちです。
そうすると乾燥が早まり、植物はより多くの水分が必要になります。
水分が多くなれば、徒長のリスクが高くなります。
光だけが強いというのは植物にとってはストレスを感じることなので、水と風のバランスを意識した照射が大事になってきます。
常に植物の状態を見ることができてすぐに変化に気づけるという場合は問題ありません。
ただ、そんなにいつも見ている時間はないよという場合は、光・水・風のバランスを下げて管理した方が植物の影響が少なく無難に管理できます。
そういったことからぼくの場合は、ルクスで表すと30,000〜50,000lx程度しか当てていません。
PPFDで言うと、750μmol m-2 s-1〜高いところで1,200μmol m-2 s-1程度かなと思います。
水やり
続いて水やりについてです。
水やりも光と同様に他のバランスによるのですが、基本的には土が乾いてから与えるというやり方で問題ありません。
当店もあまり強い光を当てていないので水やりの回数もその分少ないです。
ただ、光を弱めたからといって水分を切りすぎると今度は葉焼けのリスクが高くなるので注意が必要です。
やはり光が弱くてもLEDのように常に光が当たり続けているというのも植物にはストレスなので長時間の点灯は危険です。
特にアガベを育てている方は強い光をガンガン当てて、水を辛めにして締めて育てたいと思う方も多くいらっしゃると思います。
ただ植物が吸収できる光の量には限度があります。
水を切った状態で強い光を当てていると光合成に必要な光エネルギー以上の光は余ってしまい、「活性酸素」というものが発生します。
この活性酸素は植物にとって有害なものです。
例えば活性酸素が発生することで、
- 葉緑体を分解する
- 細胞内の遺伝子変化
など悪影響があります。
結果、細胞は死んでしまい葉が部分的に変色したり、枯れる…といういわゆる葉焼けの症状が出てきます。
通常であれば植物はこの活性酸素を除去する酵素を持っていると言われています。
ただ、水やりを忘れたり、締めるために水不足というストレスを与えると光合成ができなくなり、活性酸素の除去が追いつかなくなり葉焼けを起こす原因へと繋がっていきます。
水分を切るのにも限度があるので、株の状態を意識しつつ与えてあげてください。
風通し
続いて風通しについてです。
室内に取り込んだ場合人工的に用意しないといけないのが、風通しです。
風が必要な理由は主に
- 徒長を避けるため
- 熱を下げるため
- 乾燥させるため
- 生長を促すため
の4つです。
その理由については別の動画で詳しく解説していますので、そちらをご覧いただけますと幸いです。
https://elbazfarm.com/how-to-use-circulator/
ここでは風の強さや当て方にについてお話ししたいと思います。
まずは強さについてですが先ほどからお伝えしているように当店では光、水を控え目にしているので風も弱くしています。
もちろん個々のサーキュレーターごとに強さは異なるのでそれぞれ調整が必要ですが、送風の強さはいつも弱風に設定しています。
イメージ的にはそよ風が当たる程度になります。
当て方に関しては、風という刺激を与えることで徒長を抑制する効果を期待できますので、それぞれの株に風が当たるように調整しています。
ただ常に当て続けるのは心配なのでサーキュレーターの首振り機能を使って定期的に風が当たるようにしています。
まとめ
今回は冬場室内でアガベを管理する際に意識している温度、光、水、風通しについてお話しいたしました。
冒頭でもお伝えしたようにあくまで今回の内容は当店の環境下の話になりますので、ひとつのアイデアとしてお聴きいただき、ご自身の環境に合わせて調整していただけると幸いです。