アガベはギリシャ神話に出てくる女性「アガヴェー」からその名が名付けられた植物です。
アメリカ南部から中南米、西インド諸島など幅広い地域で自生し、その種類は220種ほどあります。
アガベの魅力は何と言ってもワイルドな株姿です。
大型のロゼッタ状の株姿で、葉の先端にはトゲがあり、品種ごとに特徴的なフォルムと色や模様を楽しめます。
前述の通りアガベには様々な品種があり、それぞれ育て方は異なってきますので、ここでは基本的な特徴や育て方をご紹介します。
Contents
アガベの特徴
科名 | リュウゼツラン科 |
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属名 | アガベ属 |
原産地 | アメリカ南部から中南米、西インド諸島など |
栽培難易度 | 容易〜難しい(品種による) |
生長速度 | 普通〜遅い |
アガベは人気の観葉植物であるドラセナやユッカなどと同じリュウゼツラン科の仲間です。
アメリカ南部から中南米などの熱帯地域に自生し、およそ200種類ほど確認されています。
いずれも大型の多年草として扱われ、一生に一度(もしくは50年に一度程度)と非常に長い期間をかけて花を咲かせ、多くのタネをつけて親株は枯れてしまいます。(品種によって諸説あるようです)
そのことから「センチュリープラント」と呼ばれることもあります。
アガベの特徴として鋭い棘が挙げられますが、その付き方も様々で先端に付くもの、猛獣の歯のような形をしているもの、また棘が付かず白い糸状のフィラメントを付けるものなどもあります。
また、アガベは昔から先住民族の食料や飲料として、またシロップやお酒の原料として扱われてきました。
お酒好きの方であれば観賞用としてではなく、テキーラの原料の方がピンとくるかもしれません。
アガベの品種
前述の通り、アガベにはかなり多くの品種がありますが、ここでは手持ちの株から人気の品種をいくつかご紹介します。
※順次追加していきます。
アガベ チタノタ レッド キャットウィーズル
アガベ チタノタ ‘白鯨’
強烈な棘を持ち厚みのある葉が特徴の品種。
現在白鯨の人気が高まっており、日本を含め香港、マカオなどに出荷が増え品薄になってきているようです。
アガベ ホリダ
薄めで細長い葉が特徴的な品種です。
写真のホリダは通常のホリダに比べて葉幅が広く、葉数が多いタイプ。
アガベ サルミアナ トニーズタイガー
サルミアナ錦の選抜品種。
鮮烈な黄斑が美しい品種です。
鉢植えでも大きくなりますが、地植えにしても大きく生長します。
アガベ チタノタ フィリグリー デビル
フィリグリーのクレステッドタイプ。
生長点がいくつか存在します。
個体による違いがあり、タワー型のように上に積み上がっていくタイプや、横方向に伸びていくタイプなどがあります。
アガベ イシスメンシス
イシスメンシスはギザギザの葉が特徴的な品種です。
写真のイシスメンシスは白葉タイプでトラディショナルなイシスメンシスとはちょっと違う雰囲気があります。
アガベを購入する際の注意点
最近は海外から輸入されてきたベアルート株と呼ばれる、根がむき出しの状態で販売されているケースが多くなってきています。
(アガベはその状態でも数ヶ月は持つほど丈夫)
その場合、付いている根はすでにダメになっている場合が多いので、発根管理が必要になってきます。
特段難しい作業ではありませんが、初めてアガベを購入するのであれば発根済みで鉢に植わっているものを購入することをおすすめします。
アガベの育て方
アガベは比較的育てやすく、丈夫な植物です。
過湿状態を避け、陽当たりと風通しを良くすることが育てる上でポイントになります。
栽培よりも、美しい形を維持するという方が難しいかもしれません。
※品種によって栽培方法は異なりますので、あくまで基本的な育て方になります。
生長のサイクル
アガベは基本的に夏型の植物で、気温が高くなってくると生長を開始します。
ただ、真夏など暖かくても湿度が高いような状態が続くと生長が鈍ります。
そのため日本においては3,4月〜6月と9月〜11月の春と秋がアガベの生育期であるように思います。(地域によって異なる)
冬に入る12月から生育が緩慢になり、1月〜2月は休眠期に入ります。
置き場所
自生地では高温で乾燥した地域で強い陽射しを浴びて自生している植物です。
そのため基本的には風通しの良い屋外でしっかりと陽に当てて育てることがアガベを美しく生長させるポイントになります。
ただ、夏場や西日などの強い陽射しは葉焼けを起こす可能性があるので、遮光するか置き場所を工夫するなど注意する必要があります。
過湿状態も嫌うので、雨があたらないように注意しましょう。
品種にもよりますが、比較的寒さにも強い品種も多いので霜が当たらないようなフレームを立てれば屋外で越冬することも可能です(5度以下にしないこと)。
ただし、梅雨時期、台風の時期、真冬は室内に取り込んだ方が無難ではあります(特に小さい株)。
室内に取り込んだ場合も明るい場所で管理します。
水やり
季節によって水やりの頻度が異なります。
生育期である春と秋は鉢土が乾いてからたっぷりと与えます。
表土が乾いても鉢の中が湿った状態で水を与えると根腐れの原因になります。
夏場は乾燥が早いので、状態をよく観察して少し早めに与えると良いと思います。
ただ、真夏の暑い時間帯に水やりをすると鉢の中が蒸れてしまうので、朝方の涼しい時間帯か夕方に与えて蒸れを回避しましょう。
一方寒くなってくるとアガベは休眠期に入るので、水やりの頻度を落とします。
完全に断水してしまうと根が傷んでしまう可能性があるので、状態をみて1ヶ月に1回程度与えると冬場に調子を崩すことなく過ごすことができるように思います。
与える際は、気温が上がっていく朝に行い日の当たる暖かい場所で管理します。
また、通気性を良くして、夜には乾いているようにしましょう。
肥料
多くの肥料は必要ありません。
植え替え時に元肥(マグァンプKがオススメ)を与え、追肥は必要ありません。
用土
過湿状態は苦手なので、水はけの良い土を使用します。
ぼくの場合は、仕入先から教わった
- 硬質タイプの赤玉土:1
- 日向土:1
- ゴールデン培養土(ペレットのみ):少量
- くん炭:少量
をベースにして作っています。
ベアルート株などの発根管理の場合も同様です。
植え替え
アガベはとても根張りが強く、割と早く根がパンパンになります。
そのため、2年に1度ほどのペースでひと回り大きい鉢に植え替えることをおすすめします。
そのまま放置しておくと根詰まりを起こすので、植え替えは定期的に行いましょう。
植え替えの時期は生長期の春と秋がおすすめです。
ただ、秋は時期によって発根前に寒くなり生長が止まってしまう可能性があるので、できれば春がおすすめです。
植え替えの際は枯れた下葉は蒸れの原因や子株の生長の妨げになるので取り除きます。
根は完全に枯れているものは取り除き、白く生きた根はそのまま植えてしまった方が無難です。
※生育環境、また品種によって生長スピードは変わりますので適宜行ってください。
冬越し温度
品種によって0度まで耐えるものもありますが、5度を下回るようになってきた場合は、基本的に室内の暖かく陽の当たる場所に移した方が無難です。
病害虫
カイガラムシやアザミウマなどが付く可能性があります。
見つけ次第駆除しますが、植え替えの際に株を守るためにオルトランなどの防虫剤を仕込んで予防しておくのもひとつの手です。
また、湿度の高い環境に置いておくと炭そ病にかかる場合もあります。
一度かかると患部を除去することになるか、最悪株ごとダメになってしまう可能性があるので、必ず通気性のある場所で管理しましょう。
炭そ病は他の株にも伝染することもあるので厄介です。
万が一かかってしまった場合は、患部を除去しベントレートなどを噴射し様子を見ます。
葉ごと除去する場合は、ハサミを縦に入れて左右に振ると取れます。
増やし方
状態良く生長していると、根元付近から子株が出てきます。
植え替えの際に子株を外し、別の鉢に植え付けることで増やすことができます。
まとめ
- アメリカ南部・中南米などが原産の植物
- ユッカやドラセナと同じリュウゼツラン科
- 220種ほどあり、栽培品種も豊富
- 陽当たりと風通しが大事
- 水やりは用土が乾いてからたっぷりが基本
- 根張りが強く2年に一度ほどのペースで植え替えを行う
- 冬越し温度は5度以上
- ハダニ・アザミウマ・炭そ病などに気を付ける
- 挿し木で増やすことができる
今人気が高い植物の1つ、アガベをご紹介しました。
鑑賞価値が高く、育てやすい植物でもあるので園芸ファンであれば1つは持っていたい植物です。