葉の形状や色が豊富にあり、多肉質の葉を持つもの、葉に艶があるもの、葉が紅葉するもの、また葉に子株を付けるものなどさまざまな種類があります。
また、開花期には花を咲かせ、白や黄色、赤、ピンク、オレンジなど鮮やかなものが多く、形状も一重咲き・八重咲・ベル咲きのものなどがあります。
葉の形や、カラフルな花を楽しめるカランコエは多くの人を魅了する植物です。
乾燥に強く、手間もかからない植物なので、園芸ビギナーの方でも安心して育てることができます。
今日はそんな魅力たっぷりの植物、「カランコエ」の特徴や育て方を詳しく解説します。
- 美しい花を楽しみたい方
- 観賞価値の高い植物をお探しの方
- 育てやすい植物をお探しの方
カランコエとは?
- 科名:ベンケイソウ科
- 属名:カランコエ属
- 原産地:南アフリカ、マダガスカル、東南アジア、中国など
カランコエは南アフリカからマダガスカルを中心に分布し、世界で100種ほど生育しています。
多肉植物の定番であるエケベリアやセダムなどのベンケイソウ科の仲間で、バラエティーに富んだ種類が人気です。
カランコエの特徴
成長期は春から秋の夏型の多肉植物です。
アサガオやコスモスと同じ「短日植物」で、日の長さが短くなるにつれ美しい花を咲かせます。
※短日植物(たんじつしょくぶつ)…昼の時間が短くなる期間に花を咲かせる植物のこと
カランコエの種類
園芸種として人気の品種をいくつかご紹介します。
- カランコエ・ダイグレモンティアナ(不死鳥錦)
- カランコエ・エリオフィラ(福兎耳)
- カランコエ・ティルシフローラ(唐印)
- カランコエ・フィフィ
- カランコエ・プミラ(白銀の舞)
などが有名です。
ダイグレモンティアナ(不死鳥錦)
葉に黒紫の斑が入り、葉の縁に赤く小さな子葉がつく強健種。
不死鳥錦はカランコエの『不死鳥』という種に斑が入ったものです。
エリオフィラ(福兎耳)
葉と茎は細かな産毛で覆われています。『白雪姫』という別名を持ちます。
ティルシフローラ(唐印)
厚みのある丸い葉が何重にも重なり、バラのように見える種。デザートローズとも呼ばれ、最大50cm程にも大きくなります。
フィフィ
フィフィはカランコエの中でも珍しい枝分かれの品種。
開花期にはベル咲の小さなサーモンピンクの花をつける。枝分かれタイプでハンギングにぴったりの種です。
プミラ(白銀の舞)
白い粉をふったような白銀の葉が魅力。葉の周囲に細かな切れ込みが入るのも特徴のひとつです。
カランコエの育て方のポイント
置き場所
多肉植物の仲間なので、多湿な環境は苦手です。
高温多湿な環境で管理していると蒸れて腐ってしまいます。
風通しの良い環境に置き管理しましょう。
基本的には6月~10月の温かい時期は雨の当たらない屋外で管理し、日の当たる明るい場所に置きます。
寒さには弱いので5℃を下回るようになってくる11月頃からは、室内で管理します。
室内で育てる場合は、湿度の高い場所は避け、日当たりの良い場所で育てます。
カランコエは短日植物です。
夜間も明るい部屋に置いておくと花が咲かないので注意が必要です。
日当たり
カランコエは日光を好む植物なので基本的には明るい日向で管理します。
ただ強い日差しを浴び続けると葉焼けを起こすので、夏場は明るい日陰に移します。
室内の場合は、カーテン越しの日が当たる場所が適しています。
温度・湿度
温暖な環境を好みます。
比較的耐寒性のあるベンケイソウ科の中でも寒さには弱い種類です。
気温が5℃を下回るようになると生育が悪くなり、枯れてしまうことがあります。
秋口からは必ず室内で育てるようにしましょう。
室内では10℃以上はキープし、日の当たる場所で管理します。
ベル咲の品種は11月下旬ごろまで、軒下などの霜の当たらない戸外で管理することで花芽がつきやすくなります。
水やり
カランコエは葉の中に水分を蓄えることができる多肉植物の仲間です。
そのため、多くの水やりは必要ありません。
また根が細く貧弱なので、水を与えすぎると根腐れを起こします。
春(4月・5月)
鉢土が乾いたらたっぷりと水を与えます。
梅雨の時期(6月〜7月)
湿度が高く乾きが遅い季節なので、1週間〜2週間に1度ほどのペースで与えます。
基本的には鉢土が乾いてから与えます。
夏(7月〜9月)
鉢土が乾く前に水を与えます。
2〜3日に1度ほどのペースで与えましょう。
秋(10月〜11月)
春と同様に鉢土が乾いたらすぐに与えます。
冬(12月〜2月)
徐々に休眠期に入るので基本的に水やりは必要ありません。
0℃を切ったら完全に断水し、休眠させます。
水やりの際に葉に当たると弱ってしまいます。
口の狭いジョウロなどで根本に水を与えましょう。
用土
加湿に弱いので、水はけの良い土を好みます。
市販の培養土を使用する場合は、多肉植物用の土かサボテン用の土を選びましょう。
ご自身でブレンドされる場合は、
- 赤玉土(小粒):5
- 腐葉土:3
- 酸度調整済みのピートモス:2
がおすすめです。
フィフィのようにハンギングタイプの場合は、鉢を軽くするために、
- 小粒の赤玉土:5
- 酸度調整済みのピートモス:3
- パーライト:1
- バーミキュライト:1
で混ぜ合わせます。
肥料
生育期である、春から秋(4月から10月を目途)にかけて2ヶ月に1度のペースで緩効性肥料を与えます。
液体の速効性肥料を与える場合は、2週間に1度ほどのペースで与えます。
リン酸を多く含んだ肥料を与えると花付きが良くなります!
植え替え
すぐに根詰まりを起こすような植物ではないので、2〜3年に1度程度のペースで問題ありません。
植え替え時期
植え替えの手順
- 株を切り戻す
- 株を鉢から抜く
- 古い土を払い、根を広げる
- 根を半分程度切り落とす
- 鉢底石を敷く
- 用土を1/3程度入れて高さを調整する
- 株を中心に置く
- 隙間ができないように土を入れる
- 割り箸などで土の隙間を埋める
- 植え替え後2、3日後に水を与える
根が細く倒れやすいので深めに植え付けましょう!
冬越し温度
温暖な環境で自生しているので、寒さには弱い植物です。
最低でも5℃以上はキープしましょう。
3℃以下になると枯れてしまいます。
冬越しに失敗しない為には、出来る限り10℃以上キープできる暖かい部屋で管理することをおすすめします。
もしくは、完全に水を切って断水し休眠させましょう。
病害虫対策
そこまで害虫が付きやすい植物ではありませんが、風通しの悪い場所で育てていると、
- カイガラムシ
- アブラムシ
などが発生する場合があります。
風通しを良い場所で管理することで予防しましょう!
日常管理
カランコエの日常管理としては、下記の2つを行います。
- 花がら摘み
- 切り戻し
花がら摘み
「花がら」とは花が咲き終わったしおれた花のことを言います。
花がらをそのままにしておくと、新しい花が咲かなくなったり、咲いても本来のサイズよりも小さくなってしまうことがあります。
また、病気の原因にもなります。
見た目も良くないので、咲き終わった花をそのままにせず、摘み取ってしまいましょう。
切り戻し
カランコエは株が生長してくると葉が乱れて徒長し、花つきも悪くなってしまいます。
そんな時は「切り戻し」という作業を行います。
切り戻しとは伸びた部分を選定し、株を若返らせることです。
カランコエの場合は、茎を根元から10センチ程度のところで切ってしまうことで、新しい芽が伸びて本来の姿に戻すことができます。
時期は、花咲き終わる5月〜6月、また9月頃に行います。
頻度としては、状態をみて2年に1度くらいのペースで問題ありません。
カランコエの増やし方
- 挿し芽
- 葉挿し
- 株分け
挿し芽
肥料分がなく、無菌の土に挿すことで簡単に増やすことができます。
葉4枚程度の箇所で切り取り、挿し芽用の培養土か、バーミキュライトに挿しておくと1ヶ月程度で発根します。
葉挿し
葉の小さいものは茎を残して切り取ります。
葉の大きいものは、葉を半分にして切ってしまっても、そこから芽が出てきます。
株分け
子株が付く品種は、株分けで増やすことが可能です。
まとめ|バラエティ豊かな品種を楽しめるカランコエを育ててみよう
今回は、多肉植物の仲間でバラエティーに富んだ品種を楽しめる「カランコエ」をご紹介します。
品種によって、葉の形状や花の形や色が異なり自分好みの株を見つけるのも面白いです。
手間もかからず簡単に育てられるので、ぜひチャレンジしてみてください。
- カランコエは多肉植物の仲間
- バリエーション豊富で、様々な株を楽しめる
- 日光を好む
- 6月〜10月は屋外で育てる
- 寒さには弱いので冬場は室内へ
- 加湿に弱いので乾燥気味に育てる
- 冬場はほぼ断水する
- 春〜秋に緩効性肥料を与える
- 2〜3年に1度のペースで植え替える
- 5℃以上で冬越し可能
- 害虫予防で風通しの良い場所に置く
- 定期的に「花がら摘み」・「切り戻し」を行う
- 挿し芽・葉挿し・株分けで増やすことができる