多肉植物

アデニウム(砂漠の薔薇)の特徴・育て方・日常管理の方法

アデニウムはでっぷりとしたユニークな塊根を持つ一方で、それとは対照的な美しい花をつけるのが人気の植物です。

栽培環境を整えれば、1年中美しい花を楽しむことも可能です。

鑑賞価値が高い植物でありながらも、日当たりと温度にさえ気をつければ、乾燥にも強く丈夫な植物なので、初心者の方でも簡単に育てられます。

今回はそんな魅力の多いアデニウムをご紹介していきます。

ドリス
ドリス
この記事の内容は動画でもご紹介しています。

アデニウムとは

科名キョウチクトウ科
属名アデニウム属
原産地アフリカ南部・東部・アラビア
置き場所陽当たり
冬越し温度10度以上

アデニウムはキョウチクトウ科アデニウム属に分類される最近人気のコーデックスプランツ(塊根植物)です。

原産地は品種によっても異なりますが、アフリカ南部・東部からアラビア半島などで自生しています。

多くの場合、自生地では砂漠や乾燥した荒れた土地の岩場や砂礫(されき)の上で強い日差しと風をもろに浴びて生育しています。

アデニウム自生地での様子

そのため、日光と風通しがアデニウムを育てる上で大事なポイントになります。

販売下では塊根部分が露出した株が出回っていますが、それは販売用に地中から出されて栽培されているからです。

多くの場合、自生地では塊根部分は地中に埋まっています。

アデニウムの品種

一口にアデニウムと言ってもさまざまな種があり、一般的に出回っているものは、「オベスム」と「アラビクム」という品種です。

その他にも人気の種をいくつかご紹介します。

アデニウム オベスム Adenium obesum

アフリカ大陸からアラビアまで幅広く分布している品種です。

ツヤのある濃緑の葉と赤茶色の表皮とでっぷりと膨らんだ球状をしているのが特徴です。

一般的に「砂漠の薔薇」と呼ばれるのはこちらの品種になります。

最近は、ホームセンターなどでも多くオベスムが出回っていますが、改良種の場合がほとんどです。

近年、タイなどで交配された園芸種が大量に栽培されておりその一種の可能性が高いです。

またアラビクムの園芸種をオベスムとして販売している店舗もあります。

エルバス
エルバス
純粋な原種が欲しい方は専門店で購入することをおすすめします。

アデニウム アラビクム Adenium arabicum

アラビア半島南部やサウジアラビアなどに分布しています。

ステラ
ステラ
オベスムとよく似ていますが、オベスムに比べると塊根部分が低く横に広がって成長するのが特徴です。

近年タイなどで盛んに改良品種が作られており、盆栽仕立てのものや、ドワーフタイプと呼ばれるものが特に人気があります。

オベスムと同様に綺麗な花を咲かせ、鑑賞価値が非常に高い人気の品種です。

ただ、アラビクムも交配種が非常に多く出回っているので、純粋な原種を見分けるのが難しい品種でもあります。

アデニウム ソマレンセ Adenium somalense

原産地のソマリアに由来した名前を持ち、細くスタイリッシュな葉が特徴。

自生地では4m〜5mにまで生長します。

アデニウム ソコトラナム Adenium socotranum

イエメンのソコトラ島にのみ自生しており、アデニウムの王様と呼ばれています。

アデニウムの花言葉

アデニウムの花言葉は「一目惚れ」「純粋な心」です。

一目惚れは砂漠の荒野で際立って美しい花を咲かせることに由来しています。

純粋な心ははっきりとはしませんが、砂漠の片隅で過酷な環境の中でも健気に花を咲かせる様子からきているようです。

アデニウムの育て方

アデニウムは陽当たりと温度、そして風通しを良くすれば簡単に育つ丈夫な植物です。

また、栽培環境を整えることで1年を通して美しい花を楽しむことができます。

それぞれ育て方のポイントを見ていきましょう。

置き場所

先ほども触れたように、アデニウムは強い日差しと風通しの良い環境で自生している植物です。

寒さには弱いので、冬場は温度管理ができる室内で育てます。

生育期でもある暖かい時期は陽当たりと風通しの良い屋外で管理することをおすすめします。

室内で育てる場合は、窓辺の明るい場所に置きサーキュレーターなどで風通しを良くします。

しっかりと陽に当てて育てることでがっしりと引き締まった株に生長します。

エルバス
エルバス
逆に日照不足が続くと、弱々しい株になり間延びしてバランスの悪い形になります。

日照不足が続くと根腐れの原因にも繋がるので、年間を通して陽当たり日当たりの良い場所で管理することが大事です。

また風通しも大事で、アデニウムの生長にとって必要な要素であることはもちろんのこと、ハダニやカイガラムシなどの害虫予防にも風通しは重要です。

水やり

多肉植物の仲間なので乾燥には強い植物ですが、割と水分を好む植物だと思います。

生育期である4月から9月下旬までは用土が乾いてからたっぷりというサイクルを繰り返します。

生育が盛んな夏場に直射日光の当たる場所で管理している場合は、乾燥状態を確認しつつ毎日与えても問題ありません。

寒くなってくると、葉が落ち始めるのでその様子を確認したら徐々に水やりの回数を減らします。

そして気温が8℃を切ってくると、落葉して休眠状態に入ります。

休眠状態になったら、断水します。

暖房などで乾燥が気になるようであれば霧吹き程度の水やりであれば問題ありません。

ただし、室内で常に20℃以上と温かい環境を保てるのであれば冬であっても、成長期と同じように乾燥したら水をあげるというサイクルを続けても問題ありません。

そうすると1年を通してアデニウムの美しい花を楽しむことができます。

アデニウムの生育適温は20度以上です。

水を切った場合は、暖かくなると再び芽が出てくるので、水やりを再開します。

その際急に多くの水を与えると弱るので水の量と回数を徐々に増やしていくのがポイントです。

肥料

アデニウムに多くの肥料は必要ありません。

春から秋に月に1〜2回程度薄めた液肥を水やりの際に与えれば問題ありません。

植え替えの際は、元肥として緩効性肥料を混ぜ込みます。

用土

過湿状態は嫌いますが、先ほどもお伝えしたように水分は好みます。

よく多肉やサボテンの土などがおすすめと言われていますが、水はけが良すぎて水切れを起こしやすいです。

そのため適度に水はけがよく、適度に保水性もある土がおすすめです。

そこでおすすめなのが、サボテン用の土に保水性を高めることのできる真珠岩パーライトを1割程度混ぜ込むことです。

黒曜石パーライトは逆に排水性を高めてしまうので気をつけましょう。

ご自身で0からブレンドする場合は、

  • 赤玉土3
  • 鹿沼土3
  • 腐葉土4

などがおすすめです。

植え替え

植え替えの適期は暖かくなる3月から5月頃が適しています。

植え替えの際は元肥を混ぜ込みましょう。

冬越し温度

完全に断水した状態であれば5度までは耐えると言われていますが、できれば10度はキープしたほうが無難です。

また、アデニウムは葉だけでなく表皮の下に葉緑素を持ち、光合成を行なっていると言われています。

そのため、冬場もしっかりと陽に当てることで丈夫な株に育ちます。

病害虫

かかりやすい病気は特にありませんが、葉と茎の付け根などにカイガラムシ、新芽にアブラムシが付きやすいです。

屋外で管理しているとつきやすいので、発見次第歯ブラシなどで取り除くか、薬剤を散布して駆除しましょう。

日常管理

大きく生長した場合や徒長して見た目が悪くなった場合は、剪定して形を整えます。

切り口付近から新芽が出てくるので、作りたい形をイメージしつつ、伸びすぎた茎を好みの箇所でカットします。

増やし方

アデニウムは以下の2つの方法で増やすことが可能です。

  • 挿し木
  • 種まき

挿し木は剪定した茎を使うと簡単ですが、挿し木の場合はアデニウム特有のぷっくりとした形になリません。

膨らませたい場合は種から育てます。

挿し木の適期は5月から8月です。

挿し木の手順

  1. 茎を鋭利なハサミで7cm〜10cm程度の長さを残し、斜めにカットする
  2. 切り口を風通しの良い場所1〜2日間乾燥させる
  3. 湿らせた挿し木用土に穴をあけて挿す
  4. 挿し穂が倒れないように周りを優しく固める
  5. バランスが悪い場合は支柱を立てる
  6. 水やりは控えめにして風通しの良い明るい日陰で管理する

茎を切ると白い樹液が出てきます。

触るとかぶれることがあるので注意してください。

まとめ

今回のまとめ
  • ユニークな塊根と美しい花をつけるのが人気
  • 「砂漠の薔薇」とも呼ばれている
  • 強い日差しと風通しの良い環境を好む
  • 4月から9月頃までは用土が乾いてから水を与えるサイクルを繰り返す
  • 落葉して休眠状態になったら断水する
  • 春〜秋に月に1~2回程度薄めた液肥を与える
  • 適度に水はけよく、保水性もある土がおすすめ
  • 植え替えの適期は暖かくなる3月から5月頃
  • カイガラムシやアブラムシが付くことがある
  • 伸びすぎた茎は剪定する
  • 挿し木と種まきで増やすことができる

アデニウムは魅力の多い植物ですので、ぜひチャレンジしてみてください。