多肉植物

冬場にアガベを室内管理する場合、室温は何度にすべき?

本記事では冬場にアガベを室内管理をする場合、部屋の温度を何度にすべきかについて解説します。

室内管理の場合、多くの方がエアコン管理になる方が多いと思いますので、エアコンの温度設定を何度にするかについて当店なりの考えをお伝えできればと思います。

尚、今回の内容は「室内でも成長を続けさせたいと思っている方を対象にしたお話しになります。
休眠させる場合は下手に温度を上げて、光が足りなかったりすると徒長の原因に繋がりますので注意してください。

この記事の内容は動画でもご紹介しております。

室温は何度にすべき?

結論からお伝えすると一般のご家庭の場合、冬場は25-26度程度を基本にしていただけると良いかと考えております。

また朝晩は下がっても問題ありません。

朝晩は出来れば15度程度、それ以下でも良いですが10度を切ると生育が緩慢もしくは休眠状態になりますので最悪10度を切らない程度を保っていただけると冬場でも成長を続けます。

なぜ26度程度が良いのか、そして寒暖差があっても良いのかについて少し深掘りしてお話しいたします。

なぜ26度程度が良いか

ざっくりですが、アガベの生育適温は20-30度程度と言われています。

そのため30度近い高温で管理されても問題はありません。

ただ、個人的には植物との共生を大事に考えておりますので、人間が暮らす空間で管理する以上、人間も居心地の良い空間にすべきだと考えています。

そう考えると30度も室温があると人間は不快に感じますので、人間も植物も快適な空間にするばらば大体25,6度程度かなと思っています。

またライトを多数お使いの場合その周りだけ結構温度が上がりますので、室温も高い上にライトによる熱を受けると葉焼けのリスクも高くなりますので、ライト熱も含めて考えるとやはりこれくらいの温度が良いと思います。

昼間と朝晩で寒暖差があっても良いのか?

たまに朝晩はどうしても温度が下がってしまうんだよね。とご相談をいただきます。

以前私も昼夜問わず一定の温度をキープした方が良いと思っていたので、夜から朝にかけてより寒くなることを見越して夜になるとエアコンの温度をあげたりと調整していましたが、ただ最近は逆に寒暖差をあえてつけるようにしています。

理由は植物は一定の適温で常時光が当たっていれば、最大の生長が得られるかというと、必ずしもそうではないからです。

とある昔の実験でこんな結果が出ています。

人工制御温室でトマトを育てた場合、昼夜温度が一定の条件下では、25℃で最大生長が得られるが、昼の温度を26.5℃、夜の温度を17〜18℃にした方がさらに生長がよかったという実験結果があります。

【参考文献】一般社団法人日本植物生理学会 「西日と植物の生長」より

これがアガベに当てはまるかはわかりませんが、日中と夜間帯で温度差があるというのはチタノタが自生するオアハカの環境に近いと考えます。

下図のグラフはオアハカにおける1年間の平均最高・最低気温をまとめたものです。

これをみていただけるとお分かりになるように、自生地ではかなり寒暖差があります。

このことから私は寒暖差はアガベ本来の形、つまり自生地での姿を作る上で、重要な要素の一つだと考えています。

加えてアガベなどのcam植物は厳しい環境下で生き抜くために昼間は水分の蒸発を防ぐために気孔を閉じていて、涼しい夜間帯に気孔を開き二酸化炭素を吸収し、また明るくなってから蓄えていた二酸化炭素(厳密に言えばリンゴ酸)を使って光合成をするというサイクルをしています。

このこともあり昼夜で温度差があるのはアガベにとっても必要なのだと考え始めています。

そのため以前のように無理に温度一定にしようとせずに、朝晩は温度が下がるのは逆にプラスに捉えるようになりました。

ただ前述の通りある程度成長を続けさせるならば下がっても15度程度、10度を切ると生育が緩慢になりますのでそれ以上も保てるように調整されると良いのかなと思います。

冬場発根管理を行う場合

発根管理も冬場やりたい。という方は今お話しした温度管理と少し異なりますので、そのことについても簡単にお話しさせていただきます。

冬場の発根管理については以前別の記事で詳しくお話ししていますので、詳細が気になる方はそちらを合わせてご覧ください。

【アガベ】冬場でも発根管理は簡単!やり方と使うものをご紹介本記事では寒くなってからよくご質問をいただく、冬場の発根管理について解説いたします。 また冬の発根管理であると便利なものもあわせてご紹...

発根管理を行う場合は常に25度程度をキープした方が根が出やすいので、他のすでに発根済みの株と同じように寒暖差をつけて管理をしているといつまで経っても根が出ないかもしれません。

そのため発根管理株に対しては温度を維持する工夫が必要になります。

わざわざ発根管理株だけ別部屋で管理する必要はなく、1番手っ取り早いのがヒーターマットを使用することです。

ヒーターマットは1番手軽で使いやすい園芸用暖房です。

いろいろなメーカーから出ているので一概には言えませんが、基本的な効果としては表面温度を気温の+10℃程度上げることができます。

使い方はとても簡単で、コンセントに差してあとはマットの上に鉢を置くだけです。

それだけで鉢内の温度を上げることができます。

ヒーターマットはすでに使っている方も多いかと思いますが、保温効果を期待できるグロウテントや簡易温室とセットで使えばより発根に適した環境を整えられるかなと思います。

またヒーターマット単体だと一定の温度にしか上がりませんが、サーモスタットを使えばより温度管理ができるようになるので便利です。

下に何も敷かないで使うと熱が裏面から逃げてしまうので、発泡スチロールなどを下に敷くと熱が逃げずより効果を期待できるのでおすすめです。

これに加えて地温計も揃えていただけるとより安心して管理ができます。

せっかく設備を整えても数値として根が発根する温度を確認しておかないと、いつまで経ってもあいまいな温度管理になりますので、しっかりと鉢を温められているか地温計を使って確認することをおすすめします。

まとめ

今回は冬場のアガベの室内管理の室温は何度にすべき?についての考えを共有させていただきました。

今回の内容をもう一度まとめると…

  • 冬場の室温は25,6度にすると人間も植物も快適な温度になる
  • 朝晩は無理に暖かくする必要はなく、ある程度寒暖差をつける
  • 発根管理する場合はヒーターマットなどで加温し25度程度をキープする

になります。

では今回はこれで以上になります。