アスプレニウムはシダの仲間です。
大きな葉を放射状に出すワイルドな「単葉タイプ」や羽状に細かく分かれた爽やかな葉を出す「複葉タイプ」など、品種によりさまざまな見た目を持ち、鉢置きにしても、ハンギングにしても楽しめます。
シダの中でもそこまで手間がかからず、比較的簡単に育てることができるので、園芸ビギナーの方でも安心して育てることができます。
今日はそんな魅力たっぷりの植物、「アスプレニウム」の特徴や育て方を解説します。
- ハンギンググリーンをお探しの方
- 観賞価値の高い植物をお探しの方
- 育てやすい植物をお探しの方
Contents
アスプレニウムとは
- 科名:チャセンシダ科
- 属名:チャセンシダ属
- 原産地:東南アジア〜熱帯エリア
アスプレニウムは主に、東南アジアを中心とした世界の熱帯エリアに自生している植物です。
世界では700もの種類が存在すると言われ、日本でも30種程度確認されています。
自生地では、地面に根を下ろす「地生種」や樹上や岩肌に生える「着生種」が存在します。
アスプレニウムの特徴
シダの仲間は世界中で自生しており、その数はなんと1万種とも言われています。
アスプレニウムも多く存在しますが、葉の裏側に付く「胞子のう」が特徴的で、細長い胞子のうが葉脈に沿って並びます。
品種によって付着する胞子のうの長さや幅は異なります。
また、アスプレニウムの特徴(魅力)は葉の見た目にあります。
大きな葉を放射状に出す「単葉タイプ」と羽状に細かく分かれた爽やかな葉を出す「複葉タイプ」に分けられます。
いずれも、葉にはツヤと光沢があり上品さも兼ね備えています。
育て方に関しては、シダの中でも比較的乾燥に強く、耐陰性もあるので置き場所を選ばないので、インテリアグリーンとして優秀です。
アスプレニウムの種類
園芸種として人気の品種をいくつかご紹介します。
- アスプレニウム・ビクトリア
- アスプレニウム・コブラ
- アスプレニウム・ニダス
- アスプレニウム・ディフォルメ×ディモルファムバーバティ
などが有名です。
アスプレニウム・ビクトリア
爽やかなグリーンの葉を楽しめる、「ビクトリア」
柔らかく波打つ葉が特徴的。
アスプレニウム・コブラ
強く波打つ葉が特徴的な「コブラ」。
葉は固く、まるでオブジェのような存在感があります。
流通量は少なめ。
アスプレニウム・ニダス
日本では、「シマオオタニワタリ」の名前で有名な品種。
大型の品種で、自生地では2mを超えるまでに成長します。
アスプレニウム・ディフォルメ×ディモルファムバーバティ
ディフォルメとディモルファムの交配種。
他の品種とは違い、レース状の上品な葉が特徴的。
アスプレニウムの育て方のポイント
置き場所
熱帯地域で自生している植物なので、「高温多湿」な環境を好みます。
日当たり
アスプレニウムは直射日光には弱く、強い日差しを浴びると葉焼けを起こします。
カーテン越しの陽が当たる場所か、半日陰の場所が適しています。
比較的耐陰性もありますが、あまりにも日照不足だと葉の艶が落ち、間延びしてしまいます。
アスプレニウム本来の美しさを楽しむならば、適度に日を当てましょう。
温度・湿度
暖かく、多湿な環境を好みます。
寒さには弱いので、秋口からは必ず室内で育てるようにしましょう。
室内では10℃以上はキープし、こまめに葉水や加湿器を設置するなどして多湿な環境を保ちます。
水やり
湿潤な環境を好みますが、根腐れを起こしやすい植物でもあります。
水やりの目安としては、
生育期である春から秋(4月~10月)にかけては、土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。
夏場は特に水が切れやすいので、毎日与えても問題ありません。
冬場は、乾燥気味にして土の表面が乾いてから2〜3日空けてから与えるようにします。
葉水は年間を通じて行いましょう!
水やりの際は、鉢だけでなく株全体に水を与えると尚良い。
また、中心部の新芽が出る部分は常に湿った状態にします。
用土
腐植質でジメジメとした環境で自生しています。
この環境を再現するには、
- 赤玉土:6
- 腐葉土:4
の割合でブレンドします。
ただ、根腐れを起こしやすい植物でもあります。
状態をみて加湿気味になる場合は、川砂を少し混ぜることで水はけが良くなります。
ハンギングの場合は、鉢を軽くするために「水ゴケ」か、
- 小粒の赤玉土:5
- 酸度調整済みのピートモス:3
- パーライト:1
- バーミキュライト:1
で混ぜ合わせます。
肥料
生育期である、春から秋(4月から10月を目途)にかけて2ヶ月に1度のペースで緩効性肥料を与えます。
液体の速効性肥料を与える場合は、1週間から10日ほどのペースで与えます。
植え替え
すぐに根詰まりを起こすような植物ではないので、2〜3年に1度程度のペースで問題ありません。
植え替えの目安は、鉢の底から根が飛び出しているかどうか。
また、長期間植え替えをしないと鉢の上まで根が盛り上がってきます。
植え替え時期
植え替えの手順
- 弱っている・枯れている下葉を落とす
- 株を鉢から抜く
- 古い土を払い、根を広げる
- 痛んだ根は切り落とす
- ひと回り大きい鉢を用意する
- 鉢底石を敷く
- 用土を1/3程度入れて高さを調整する
- 株を中心に置く
- 隙間ができないように土を入れる
- 割り箸などで土の隙間を埋める
- たっぷりと水やりをする
植え替えの際に、下葉を2割程度落とすことで、新しい鉢でも元気に育っていきます。
冬越し温度
温暖な環境で自生しているので、寒さには弱い植物です。
最低でも5℃以上はキープしましょう。
5℃までは耐えられますが、寒い状態が続くと調子を崩します。
冬越しに失敗しない為には、出来る限り10℃以上キープできる暖かい部屋で管理することをおすすめします。
また、
- 暖房の風が直接当たらない場所
- 窓際で冷気が当たらない場所
に置きましょう。
病害虫対策
そこまで害虫が付きやすい植物ではありませんが、風通しの悪い場所で育てていると、
- カイガラムシ
- アブラムシ
などが発生する場合があります。
風通しを良く、葉水することで予防!
また、屋外で育てていると「ナメクジ」が付く場合があります。
日常管理
それでも葉が枯れてしまった場合は、根本から切り取ってしまいましょう。
アスプレニウムの増やし方
アスプレニウムは本来、胞子を飛ばして数を増やしていきます。
ただ、家庭で胞子栽培は難易度が高いです。
そのため(品種にもよりますが)、基本的には「株分け」がおすすめです。
株分けの手順
株分けの手順は、下記の6ステップです。
- 株を鉢から抜く
- サイズが均等になるように複数に分ける
- 植え替えと同じ方法でそれぞれ植え付ける
- たっぷりと水を与える
- 鉢ごとポリ袋で覆う
- 新芽が出る・発根するまで明るい日陰で管理する(1ヶ月程度)
まとめ|鑑賞価値の高いアスプレニウムを育ててみよう!
今回は人気のシダの仲間である大きく、「アスプレニウム」をご紹介しました。
品種によって、見た目も生態も大きく変わるとても面白い植物です。
大きな葉を放射状に出すワイルドな「単葉タイプ」や羽状に細かく分かれた爽やかな葉を出す「複葉タイプ」など様々な品種があるので、ぜひ好みの株を見つけてください。
- 品種が多く、それぞれ見た目も生態も異なる
- 鉢置き・ハンギングどちらでも楽しめる
- 直射日光の当たらない明るい日陰で管理
- 春〜秋は土の表面が乾いたらたっぷりと水を与える
- 冬の水やりはやや控えめにする
- 加湿を好む
- 定期的に葉水を行う
- 春〜秋に緩効性肥料を与える
- 2〜3年に1度のペースで植え替える
- 5℃以上で冬越し可能
- 害虫予防で風通しの良い場所に置き、霧吹きをこまめに行う
- 枯れた下葉は落とす
- 株分けで増やすことができる