丸っとした形と王冠のようなデザインが人気の植物「ユーフォルビアオベサ(以下、オベサ)」の特徴や育て方をご紹介します。
オベサは見れば見るほど愛くるしい丸っこい形をしていて、個体によって表情が異なるのが魅力的な植物です。
メジャーな植物ではありませんが、コレクション感覚で集めるのも、気に入った個体をじっくり愛でるのも面白くコレクターも多く存在します。
では早速オベサをご紹介していきます。
Contents
ユーフォルビア オベサとは
科名 | トウダイグサ科 |
---|---|
属名 | ユーフォルビア属 |
原産地 | 南アフリカ/北ケープ州 |
栽培難易度 | 容易〜普通 |
生長期 | 夏 |
オベサは多肉植物の中でも多種多様な形状を持つユーフォルビアの仲間です。
そのユーフォルビアの中でも球状の代表種と言われています。
この見た目からサボテンと思う方がいらっしゃるかもしれませんが、オベサにはサボテン特有の刺座がなくトゲはありません。
生長していくと木質化し、独特な味わいを持つようになります。
緑色の若々しい株も魅力的ですが、木質化して古株の味わいのあるオベサも十分鑑賞価値が高くコレクターも多く存在します。
木質化して、よく枯れてしまったと勘違いする方がいますが、オベサを含む多肉植物では良くあることなので、気にしなくて問題ありません。
専門店であれば、木質化オベサとして販売しているので、好みに合わせて株を選んでください。
また、オベサは雄株と雌株に分かれているので、複数揃えて交配させることも可能です。
原産地
原産地は、南アフリカの北ケープ州のグレートカルー地帯です。
低木と砂礫に覆われた降水量も少ない乾燥した地域に自生しています。
自生地では石の間の地面に埋れて生育しているようで、中々発見するのが難しいようです。
名前の由来
オベサ(Obesa)はラテン語のObesus(肥満した)からきており、まさにオベサの特徴を捉えた名前が付いています。
英名では「バスケットボールプランツ」と呼ばれています。
和名では「キリン玉」と呼ばれています。
オベサの種類
オベサは大きく分けて2つのタイプがあります。
まず、オベサの特徴である頭頂部から下の伸びるライン(稜)から子株がポコポコ生える「Prolifera(プロリフェラ)」です。
稜…球状のサボテンのヒダの事
日本では「仔吹きオベサ」の愛称で親しまれています。
この子株を切り取って植えれば増やすことも可能です。
あまりビジュアル的によろしくはないですが、好きな人は好きです。
もう1つは、株元から子株を複数生やす「Caespitosa (カエスピトーサ)」というものがあります。
また、それ以外にも同じユーフォルビア同士で交配させ、いくつか交配種が作られています。
オベサの交配種
- オベサ梵天
- オベサブロウ
ユーフォルビア オベサの育て方
オベサは特に栽培が難しい植物ではありません。
そのため園芸ビギナーの方でも問題なく育てられる植物です。
育て方のポイントをいくつか見ていきましょう。
置き場所
徒長しやすいので、年間を通してしっかりと陽に当たる風通しの良い場所で管理します。
徒長するとオベサの魅力である球状の形が崩れ、頭頂部から間延びした形になってしまいます。
ただ、購入してきた株は室内で管理されていることもあるので、急に強い陽射しに当てずに徐々に慣らしてから日向に移しましょう。
一度葉焼けしてしまうとその箇所は元には戻らないので最初は慎重に管理することをおすすめします。
水やり
オベサは球状の体内に水分を蓄えることのできる植物です。
そのため過湿が苦手なので、水は鉢土が完全に乾いてから与えるのが基本です。
寒くなる晩秋からは休眠期に入ります。
この時期に水分を与えると根腐れを起こしますので、翌春までは断水気味に管理します。
ただ、オベサは根張りが弱い植物なので完全に断水すると弱ってしまいます。
定期的にごく少量の水で土を湿らすと良いと思います。
冬場水を与える際は、朝に行い夜間帯には土が乾いているようにしましょう。
肥料
多くの肥料は必要ありません。
肥料を与えすぎると株姿が乱れてしまいます。
肥料は控えめにして、マグアンプなどの緩効性肥料を与えるか薄めた液肥を与えます。
用土
他の多肉植物と同様に水はけの良い土を好みます。
市販のサボテン・多肉植物用の土を使えば問題ありません。
水はけをより良くしたい場合は、2割程度赤玉土を加えると水はけをさらによくし、適度に水もちが良くなります。
植え替え
生長は緩やかなので、2年〜3年程度のペースで問題ありません。
※生育環境によって生長スピードは変わりますのであくまで目安です。
植え替えの適期は5月〜8月頃です。
冬越し温度
オベサが自生している地域は冬場はかなり気温が下がるので、0度まで耐えることができます。
そのため温暖な地域では屋外での越冬も可能です。
とはいえ、冬場は室内で管理した方が無難ではあります。
病害虫
多肉植物は全般的にカイガラムシが付きやすいです。
予防として風通しの良い場所で管理し、万が一付いてしまった場合は、早めに駆除しましょう。
日常管理
日光と共に風通しが大事なので、室内で育てている場合はサーキュレーターなどで風を循環させることが大事です。
増やし方
増やし方は主に種からの実生、仔吹きオベサなどは子株を切り分けて増やすことができます。
種を採取する場合は、前述の通り、オベサには雌雄があるので単体で種を採取することはできません。
開花期に花が咲いた際に、花粉が付くのが雄株になります。
筆などで受粉させることで実が付きます。
完熟すると実が割れてしまうので、先に摘むか下にシートなどをひき種を採取します。
オベサの魅力
オベサのような変わった植物はどちらかと言うとコレクション気質のある男性が好む傾向が強いですが、個人的には女性にもおすすめです。
一見毒々しく見えますが、よく見ると丸っこく王冠のような株姿はインテリアに良く映えます。
ちょっと変わった植物が欲しいという方にぴったりの植物だと思います。
また、値段も今流行りのビザールプランツ(珍奇植物)やコーデックス(塊根植物)などと比べれば比較的リーズナブルなので手が出しやすいのもおすすめのポイントです。
もちろん個体によっては数万円のものありますが、多くの場合は1万円も出さなくてもお気に入りの個体がきっと見つかると思います。
種を採取したり、子株を切り取って増やすことも可能なので長年付き添えるのも魅力です。
まとめ
今回は丸っこくて可愛い姿が魅力のオベサをご紹介しました。
とても愛嬌のある植物ですので、ぜひ大事に育ててあげてください。
- 多種多様な形状を持つユーフォルビアの仲間
- 球状のユーフォルビアの代表種
- 生長していくと木質化し、独特な味わいを持つ
- 原産地は南アフリカの北ケープ州
- 低木と砂礫に覆われた地域に自生している
- オベサ(Obesa)はラテン語の「肥満した」が由来
- 陽当たりの良い場所で管理する
- 耐寒性があり0度まで耐えられる
- 過湿が苦手なので、水は乾いてから与える
- 肥料は控えめにして、マグアンプなどの緩効性肥料を与える
- 実生か子株を切り分けて増やすことができる