多肉植物

多肉植物の休眠期について|なぜ休眠するのかを日本と自生地との気候の違いから解説

本記事ではアガベなど多肉植物がなぜ休眠するのかについて解説していきます。

参考書などを読んでいると

  • 多肉植物は冬休眠状態に入ります。
  • 休眠期は水やりは控えましょう

など書いてある事が多いと思います。

しかし、

そもそも休眠期ってなんなのでしょうか?そしてなぜ水を与えちゃいけないのでしょうか?

ぼくもアガベに限らず植物の栽培を始めた初期は、冬は寒いから生長が鈍るんだろうなということは何と無くイメージできましたが、休眠期の植物が実際どんな状態なのかはっきりしたことが分かりませんでした。

またなぜ水を与えちゃいけないのかも明確に分かりませんでした。

そこで今回は初歩的な事になりますが、一体休眠期ってなんなのか?またなぜ水を与えてはいけないのかについてお話ししたいと思います。

理由を知っていると枯らしてしまうなど失敗も減り、栽培のヒントになりますので、最後までお聞きいただけると幸いです。

この記事は動画でもご紹介しています。

休眠期って何?

ではまずは休眠期が一体なんなのかについてお話ししていきます。

休眠期を簡単に言えば、アガベなど多肉植物については「自分の生育に適さない時期」を指します。

アガベを例にして考えるとアガベの自生地はアメリカ南西部やメキシコを含む中米・南米などが中心になります。

例えば、今人気のチタノタが自生しているメキシコのオアハカの気候は、年間を通して暖かく、気温は 9°Cから 31°Cに変化しますが、5°C 未満または 34°C を超えることは滅多にないと言われています。

画像引用:© WeatherSpark.com

一方東京を例にすると、最高気温の差はないにせよ、夏の最低気温が高くアガベにとって非常に暑い環境であること、逆に冬は東京の最高気温がオアハカの最低気温程度までしか上がらないため、非常に寒い環境であることがわかると思います。

また湿度(オアハカ、東京都における蒸す可能性を比較)を見ると東京の6月から10月半ば頃まではアガベにとってとんでもなく不快な時期であることが下記の表から分かると思います。

オアハカの気候
東京の気候

 

画像引用:© WeatherSpark.com

※このグラフは湿度が高くなる可能性を示したグラフです。東京では5月半ばごろ〜10月半ばごろまで湿度が高い可能性が高くなっていることを示しています。

このように海外原産の植物は日本の栽培環境と自生環境は大きく異なります。

つまり、この環境の違いにより、日本の寒さや暑さに耐えられなくなると生育が鈍ったり生長が止まったりします。

その時期のことを「休眠期」といいます。

時期は植物の種類によって異なり、夏に休眠するタイプと冬に休眠するタイプがあります。

もちろん品種によって暑さ・寒さの耐性は異なります。

ただアガベを中心に考えれば12度から30度程度が生育適温と言われていますので、真夏や真冬は生育が止まり(鈍くなり)ます。

逆に春や秋はアガベにとっても快適な気候であり、この時期が生長期になります。

生長期は、春秋型、夏型、冬型に分けられ、参考書などをみればどのタイプか書いてあるので、それを参考にして育ててみてください。

そしてこの休眠期と生長期では管理方法が異なりますので、メリハリをつけて育てることがアガベを含む多肉植物を元気に育てるポイントになります。

ただ例外があり、室内や温室など環境の変化が少ない場所で育てている場合は休眠期に入らず、生長を続けますので生長期と同様の管理をします。

なぜ水を与えちゃいけないの?

休眠期がなんなのかを知った上で次はなぜ水を与えてはいけないのかお話ししていきます。

先ほどもお伝えしたように生長期と休眠期はメリハリをつけることが大事です。

休眠期は生長が止まる(鈍る)ので同様の育て方をすると調子を崩します。

その中で特に意識したいのが水やりです。

生長が止まっている状態で水を与えると、根腐れを起こしたり、徒長してしまったり、寒さで葉が痛むなどの原因に繋がります。

それぞれ理由をお話しします。

根腐れ

気温が低くなってくると徐々に生育が鈍り、根が水を吸わなくなっていきます。

加えて、気温や日照時間の低下により用土も乾きにくくなり、湿った状態が長引きます。

この状態が続くと根腐れを起こし、最悪枯れてしまいます。

そのため気温の変化に合わせて水やりの回数を減らしていき、休眠期は断水します。

ただ、すべての植物を断水にするのではなく、植物の性質によっては水やりは必要になります。

例えば寒さに強い植物は冬場でもある程度与えた方が良かったり、一部のコーデックスなどは細い根が枯れてしまう可能性もあるので冬場でも控えめな水やりが必要です。

徒長

冬になると暖かい部屋に植物を取り込む方も多くなると思います。

暖かい部屋で管理していると植物は生長を続けます。

多肉植物の多くが日光を好みますが、室内は屋外に比べると遥かに日照条件が悪いので、植物は光を求めて徒長してしまいます。

暖かい室内で管理する場合は、明るい窓辺などに置き出来るだけ日に当てる、また植物用のLEDで光を補うなどの管理が必要になります。

窓辺に置く場合は、片面だけでなく定期的に鉢を回してすべての面が当たるようにすると徒長のリスクを軽減できます。

葉が傷む

休眠期に水を与えると吸い上げた水分が葉に行き渡ります。

その状態で寒さに当たると凍ってしまい葉が枯れてしまう可能性もあります。

水を切ることで寒さへの耐性も上がります。

まとめ

今回は、アガベなどの多肉植物の休眠期についてお話ししました。

なぜ休眠期に入るのか、そしてなぜ水やりを控えるのかが分かると植物をより上手く管理できるようになるかなと思います。

先ほどもお伝えしたように植物ごとの生長期については、参考書などを見れば大体書いてあることなので、今後植物を購入する際や育てている植物がどのタイプなのか一度調べてみてください。

では今回は以上になります。