本記事では植物育成ライトの適切な照射時間について考察していきます。
照射時間は基本的には各LEDメーカー推奨の照射時間に合わせれば良いとは思います。
ただライトを使って栽培している中でちょっと疑問が出てきました。
それは、
「単純に考えて照射時間が長い方が生長するんじゃないか、例えば24時間照射すれば常に生長を続けるのではないか…」
ということです。
そこで植物の生長についてちょっと調べてみましたので、ぼくなりの考えをお話ししたいと思います。
今回の内容は完全にぼくの考察ですので、正しいかどうか分かりません。
あくまで参考程度にご覧いただけると幸いです。
また、ぼくが育成ライトを使って育てている植物は主に多肉植物(アガベメイン)になりますので、アガベを中心とした話になります。
この記事は動画でもご紹介しています。
24時間照射は効果があるのか?
では今回ふと思った、「24時間照射したら植物は生長を続けるのか」について調べてみました。
結論から言えばこれはすぐに間違いだということに気づきました。
植物の生長の仕組みを超絶簡単に言えば、光合成をするために葉緑体が光を吸収して、根から吸い上げた水と気孔から吸った二酸化炭素をもとに養分と酸素を作っている。
というのが一般的な植物の生長の仕組みだと思います。
一方、乾燥した厳しい環境下で自生しているアガベを含む多肉植物の多くは、一般的な植物とは光合成の仕組みが異なります。
昼間は水分の蒸発を防ぐために気孔を閉じていて、涼しい夜間帯に気孔を開き二酸化炭素を吸収し、また明るくなってから蓄えていた二酸化炭素(厳密に言えばリンゴ酸)を使って光合成をするというサイクルをしています。
この仕組みを持つ植物をCAM植物と言います。
CAM植物
ベンケイソウ型酸代謝(crassulacean acid metabolism ; CAM)を行う植物。ベンケイソウ科(Crassulaceae)をはじめ、サボテン科、リュウゼツラン科など多肉植物の多くが含まれる。CAM植物は多くの植物と異なり、昼間に気孔を閉じて水分の蒸散を防ぎ、夜間に気孔を開くことで、生育地である砂漠などの乾燥地帯に適応している。光合成を行う組織でこの生成物であるリンゴ酸は、夜間に蓄積され昼間に消失する。二酸化炭素の取り込みは夜間に行われる。いずれも乾燥地の生育に適応したものである。
引用:時事用語辞典
つまり、光が当たる時間帯と光のない時間帯で別の動きをしているということになります。
そう考えると24時間ライトを付けっぱなしでいるとCAM植物は二酸化炭素を吸収できず逆に生長出来なくなるということになると思います。
植物育成ライトの照射時間は何時間がベスト?
これを調べていたところ同じように植物育成ライトの照射時間について調べていらっしゃるAnd Plantsさんの記事を見つけました。
ぼくよりも遥かに詳しく調べられていらっしゃいましたし、とても参考になったので、気になる方はぜひご覧ください。
And Plantsさんの記事を参考にさせていただくと、CAM植物の二酸化炭素の吸収は13時間で飽和し、日照10時間で最大となるということでした。
もちろん、光の強さ、LEDの性能やその他の要因によって異なると思われますが、単純に照射時間だけを考えれば10時間から13時間内が良いのかなと思われます。
1年中同じ照射時間で良いのか?
最後に最近気になっていることをお話しします。
それはLEDで室内管理する場合、1年中同じ照射時間で良いのか?ということです。
植物が季節を感じるのは日照時間と温度と言われています。
多肉植物の多くが日本のように四季の移り変わりの明瞭な地域ではないにせよ、一年中同じではないはずです。
植物の本来の生育環境を考えると常に同じ照射時間、同じ温度で管理するのはあまり良くないことなのかなと思います。
温度に関してはある程度メリハリをつけることを意識していましたが、シーズンごとの照射時間に関してはあまり意識したことがありませんでした。
このことについてもAnd Plantsさんが触れていましたが、書かれていましたが、And plantsさんは夏は13時間、冬は10時間にしているようです。
ぼくも栽培している植物の自生地の日中の時間などを調べ今後シーズンごとに調整してみようかなと思いました。
まとめ
今日は植物育成ライトの適切な照射時間についてぼくが調べた内容をご紹介させていただきました。
そもそもいくら太陽光に近いといってもやはり太陽光とは違いますし、植物の生長には光以外の要因も様々関わってくるので、単純に今回の内容が当てはまるというわけではないと思います。
ただ単純に長く付けていれば良いということではないことは分かりました。
これはもう自分で実験してみて植物の状態を観察していくしかなさそうですね。
では今回は以上になります。