本記事ではアガベの代表的な自生環境(気候)を調べ、各都市の気候の違いからそれぞれの地域のアガベの特徴を考察していきます。
アガベというとアメリカ南西部からメキシコ一帯の乾燥した地域に自生しているというイメージをお持ちの方は多いと思います。
ぼくもそうです。
とはいっても地域によって環境は少なからず変わってくると思うので、アガベ原産地として有名な地域をいくつかピックアップしてそれぞれの環境(気候)を調べてみました。
自生環境を知ることで何かしら栽培のヒントも見えてくると思います。
この記事は動画でもご紹介しています。
Contents
アガベの代表的な自生環境(気候)とその地域のアガベの特徴
今回調べた自生地は、
- 人気のチタノタが自生しているオアハカ州の「オアハカ」
- エボリスピナなどが自生しているネバタ州の「ラスベガス付近」
- アメリカーナ、パルメリーなどが自生しているアリゾナ州の「フェニックス」
- 笹の雪などが自生しているメキシコ北東部ヌエボ・レオン州の都市「モンテレイ」
の4都市を東京の気候と比べてみたいと思います。
※都市の気候を調べているので、実際に自生している場所とは気候が異なる可能性があります。
あくまで個人的な考察、また品種によって育て方は異なりますので、ひとつの参考までにお聞きいただけると嬉しいです。
オアハカ州/オアハカ
まずは人気のチタノタが自生しているオアハカ州の「オアハカ」をみていきたいと思います。
オアハカはメキシコ南部の都市で、チタノタ以外にも定番のイシスメンシスやマクロアカンサなども自生していると言われています。
ではまず気温を見ていきたいと思います。
気温
画像引用:© WeatherSpark.com
気温は 9°Cから 31°Cに変化し、年間を通して暖かく、5°C 未満または 34°C を超えることは滅多にないと言われています。
一方東京を例にすると、最高気温の差はないにせよ、夏の最低気温が高くアガベにとって非常に暑い環境であること、逆に冬は東京の最高気温がオアハカの最低気温程度までしか上がらないため、非常に寒い環境であることがわかると思います。
降水量と湿度
画像引用:© WeatherSpark.com
まず降水量です。
オアハカは乾季(11~4月)と雨季(5~10月)に分かれており、雨季の降水量は東京都さほど変わらないものの、乾季はほぼ降りません。
続いて湿度ですが、
画像引用:© WeatherSpark.com
画像引用:© WeatherSpark.com
オアハカと東京都における湿度快適性レベルを見ると、オアハカは年間を通して乾燥しており東京と比べればかなり快適な環境であることが分かります。
一方東京はかなり湿度が高く、東京の6月から10月半ば頃までは人間が蒸し暑いと感じるように乾燥した環境で自生しているアガベにとってもとんでもなく不快な時期であることがこの表から予想できます。
この地域のアガベは特に寒さや蒸れに弱いことが予想されるので、冬場はしっかりと寒さ対策をして、夏のジメジメとした時期は風通しをよくして過湿を防ぐことが大事かなと思います。
ネバタ州/ラスベガス付近
続いてネバタ州ラスベガス付近です。
ここにはチタノタと人気を二分する「アガベ ユタエンシステム エボリスピナ」が自生している地域です。
エボリスピナはラスベガスに近いカリフォルニア州北部とネバタ州南部の州境付近の山地に分布し、標高1100m〜1900mにある石灰岩の岩場に自生しているそうです。
ではこの地域の気候と東京の気候を比べてみたいと思います。
気温
画像引用:© WeatherSpark.com
まずは年間の気温の変化です。
ラスベガスは、夏はかなり暑く、冬はかなり気温が下がる地域です。
先ほどのオアハカと比べると年間の気温の変化が激しいことがわかります。
画像引用:© WeatherSpark.com
オアハカよりも日本に近い気温の推移かなと思います。
ただ夏場の最も暑い時期は40度にまで達し、1日の平均気温は35度を超えます。最低気温も27度とかなり暑そうです。
一方冬場は平均最高気温は 19°C 未満となり、最も寒い時期で平均最低気温は 4°C、最高気温は 14°C程度となります。
ラスベガスと聞くと年中暖かいイメージですが意外と寒くなります。
ただ、氷点下になることは滅多にないそうです。
冬場の最低気温は東京と比べてもそこまで差はありませんが、最高気温が高く日中と夜間帯の温度差がかなりあります。
エボリスピナはアガベの中でも寒さに強い部類で-10度程度まで耐える(栽培環境・状態による)と言われていますので、比較的寒い環境に自生していることから寒さへの耐性が身についたのかなと考えられます。
降水量と湿度
画像引用:© WeatherSpark.com
ラスベガスは年間を通しての降水量は少なく、ほぼ晴天と言われています。ただ、2~3月は雨季にあたり、一年の中で雨が降る事が比較的多い時期になります。
とはいえ、日本の梅雨のように毎日降ることはなく、雨の日も朝から晩まで1日中降り続けるという事もそれほどないようです。
画像引用:© WeatherSpark.com
そして表から分かるように年間を通してほぼ乾燥状態が続くので雨が降っても湿度を感じる事はほとんどなく、多少濡れてもすぐ乾くのが特徴です。
このことからこの地域に自生する植物は比較的寒さには強いが、日本の高い湿度が苦手ということが分かるかなと思います。
特に日本の夏場は非常に蒸しているのでやはり過湿には気をつける必要がありそうです。
アリゾナ州/フェニックス
アメリカーナ、パルメリーなどが自生しているアリゾナ州の「フェニックス」を見ていきたいと思います。
フェニックスはアメリカ南西部のアリゾナ州の州都です。
フェニックスの特徴は砂漠地帯に位置しているため、年間を通して温暖で、夏は非常に日本のように湿度が高くなく暑くても乾燥しているため過ごしやすいと言われています。
ではまず気温を見ていきたいと思います。
気温
画像引用:© WeatherSpark.com
1年を通して、気温は 7度から 41度に変化し、3度 未満または 44度 を超えることは滅多にないようです。
冬でも日中は20度程度あり、朝晩でも4度以下に下がることはほとんどない温暖な気候です。
最も寒くなる1月でも平均最低気温が5.1度程度です。
日本の最高気温がフェニックスの最低気温程度ですね。
かなり暑そうです。
この気温は先ほどのラスベガスとよく似ています。
画像引用:© WeatherSpark.com
若干フェニックスの方が暑いといった感じでしょうか。
降水量と湿度
画像引用:© WeatherSpark.com
続いて降水量と湿度を見ていきたいと思います。
4月から6月までは雨がほとんど降らず、7月前半から9月中の時期に季節風が吹くと大雨になることがあるそうです。
とはいえ、年間降水量は約200ミリメートルと少なく、雨はほとんど降らない地域です。
画像引用:© WeatherSpark.com
湿度快適性レベルを見てみると雨の降る7月前半から9月中頃までは若干湿度が高くなるようですが、基本的には年間を通して乾燥した環境になります。
この環境から考えるとこの地域のアガベはラスベガス付近に自生しているアガベほど寒さへの耐性はなさそうですが、多湿には若干強いのかなと思います。(ほんのちょっぴり)
ヌエボ・レオン州/モンテレイ
モンテレイはメキシコ北東部のヌエボ・レオン州の州都になります。
この地域では昔から日本で人気の高い笹の雪やジェントリージョーズなども自生しています。
この地域の特徴は、夏が長く、暑い、そして湿度も高い。一方冬は短く、比較的涼しく、乾燥していると言われています。
こう聞くと今までの都市と比べると1番東京に似た環境なのかなと思います。
気温
画像引用:© WeatherSpark.com
では、そんなモンテレイの気温を見ていきたいと思います。
1年を通して、気温は 10度から 35度に変化しますが、4度未満または 38度を超えることは滅多にないようです。
夏場の最高・最低気温は東京に近いですが日中と朝晩の気温の変化が大きいように思います。
一方冬場は結構暖かく、最高気温が20度近くあり、最低でも10度近くと東京と比べればかなり暖かい環境だと思います。寒いというより涼しいと言った方が適当かと思います。
降水量と湿度
画像引用:© WeatherSpark.com
降水量は日本の半分程度といったところでしょうか。
ラスベガスやフェニックスと比べれば比較的降水量は多いと思います。
画像引用:© WeatherSpark.com
それに伴い湿度も高くなり、結構湿度が高い環境であることが分かります。
この地域のアガベは日本の冬場の寒さを除けば1番日本の環境に馴染みやすいのではないかと思います。
まとめ
今回はアガベの代表的な自生地4箇所の生育環境を調べて見ました。
同じアガベでも原産地によって環境は結構異なることがわかりました。
ただやはり日本の高温多湿な夏と寒い冬はどこの地域のアガベも苦手というのは共通しているかなと思います。
このように植物の育て方を学ぶには自生地での環境を知ることが1番だと思いますので、たまにはこんなことを調べるのも面白いかなと思います。
できればいつか実際に自生地に行ってみたいですね。
今回の内容がアガベを育てている方の何かの参考になると嬉しいです。