植物育成LEDライト

植物育成ライトの照射距離をPPFDで決める!照度からPPFDを求める方法

植物に必要な光の単位は照度ではなく、PPFDだと聞いたけれど、どうやって測ればいいの?というご質問をいただきましたので、本記事で解説していきます。

このブログでも照度は人間が感じる明るさの単位であり、植物の光合成に必要な光はPPFDになりますと何度もお伝えしてきました。

とはいえ、PPFDを測るにはPPFD測定器が必要になり、これはかなり高額なので一般のご家庭で購入するようなものではありません。

そんな場合に役に立つのが、照度からPPFDを割り出す方法です。

多くの方が照度計はお持ちだと思いますので、この方法を使えば「この照度だからこのくらいのPPFDになるだろう」と大体の目安が分かるようになると思います。

とはいえ今回お話しするやり方はあくまでざっくり、なんとなくの計算になりますので、ご自身で計算される場合は自己責任でお願いいたします。

この記事の内容は動画でもご紹介しております。

PPFDとは

まずはPPFDについて簡単におさらいしたいと思います。

こと光合成を考えた場合に必要な明るさの単位として用いるのが、
光合成光量子束密度 (Photosynthetic Photon Flex Density : PPFD)です。
これの頭文字を取ったものがPPFDになります。

PPFDは、植物が光合成に利用する波長の光を、一定時間内、一定面積内に受ける光の粒(光子)の量として表した単位になります。

簡単に言えば植物が感じる明るさの単位になります。

例えば、屋外の快晴時のPPFDはおよそ2,000 μmol/m2・s
曇りの日のPPFDは約 50 〜 100 μmol/m2・s程度と言われています。

植物ごとに最適なPPFDは異なりますが、一般的に多肉植物で500以上は必要と言われ、観葉植物で10以上500程度と言われています。

逆に照度は人間が感じる明るさなので、こと光合成に必要な明るさを考えた場合には、照度では分からないということです。

照度からPPFDを割り出す方法

では本題に移ります。

私がよく参考にしている光合成の森というサイトの中に「光の単位」というページがあります。

そこに光源の種類ごとに照度の換算係数が書かれており、その換算係数で照度を割ることでPPFDを求める方法が載っています。

たとえば、昼間の太陽光の換算係数は54と書かれています。

日中の太陽光が100,000lxとすると、それを54で割ると、1,851(PPFD)と求めることができます。

ただそこには育成ライトのようなLEDの換算係数が載っていません。

ではどうするかというと…

お持ちのライトの説明書に載っている照度とPPFD値からまず換算係数を求め、そしてその換算係数を使って照度を割っていけば大体のPPFD値を算出できるかなと思います。

たとえば、ROKI-350を例にしてみたいと思います。

公表値だと、

30cmの距離で
照度:29,000
PPFD:600

20cmの距離で
照度:60,000
PPFD1,300

と書かれています。

換算係数
30cm:48.3….
20cm:46.1….

なので換算係数を大体47とすると、

照度:50,000→1060…
照度:100,000→2,217…

と求めることができます。

ご覧の通りアバウトではありますが、これでざっくりと照度からPPFDを割り出せるかなと思います。

また単純に明るさは【距離の2乗に反比例】するという法則があります。

距離が 2倍になれば明るさは1/4(2の2乗に反比例)に、逆に距離が1/2になれば明るさは4倍(1/2の2乗に反比例)になるというものです。

たとえば、さきほどのROKIのPPFDが30cmで600と書かれていましたので、1/2の距離つまり15cmの距離になれば2,400になるということです。逆に60cmの距離で当てた場合だと1/4になり150になるということです。

この2つの考えを持っていればこのように大体のPPFDがわかるようになります。

アガベの管理で必要はPPFD値はどれくらい?

最後にアガベを管理する場合どれくらいのPPFDがあればよいかもお話しさせていただきます。

これも昔から言っていますが、(あくまで個人的な感覚になりますが)大体600程度あれば普通に育てられる(徒長しない)明るさだと思っています。

さきほどの2,000のような数値だと葉焼けすると思います。

照度はどれくらいがいいですか?と聞かれた際は30,000-40,000程度、高くても50,000lx程度が良いですよとお伝えしています。

それは私がよく使っているツクヨミがさきほどの換算係数で計算すると、ざっくりですが、
30,000で700程度となり先ほどお伝えした600という数値を30,000lxで十分に超えているからです。

これはあくまで簡易計算ですし、600というのも私の経験上の話なので絶対これが良いとは言いません。

ただこのように数値を求めていき、ご自身の環境にあった明るさを求めていただけると良いかと思います。

まとめ

今回は照度からPPFDを割り出す方法をお伝えしました。

今回の内容をまとめると、

  • 植物が感じる明るさは照度ではなくPPFD
  • 換算係数を求めて照度で割るとざっくりとPPFDがわかる
  • 明るさは距離の2乗に反比例する
  • アガベの管理で必要なPPFDは600程度

になります。