多肉植物

アガベ・多肉植物への植物育成LEDライトの当て方|強光は危険かも?

今日は最近よくお問い合わせをいただく、植物育成LEDライトの当て方についてELBAZ FARMなりの考え方や管理方法をご紹介します。

まず簡単に自己紹介になりますが、ELBAZ FARMではさまざまな植物をLEDで管理しています。
さまざまなLEDを使用していますがメインテーブルでは人気LEDメーカーBARRELから出ているAMATERASとTSUKUYOMIというLEDを使ってアガベを中心に育てています。

この環境を作ってまだ一年程度ですので、まだまだLEDを使った栽培はELBAZ FARMも勉強中ですが、試行錯誤する中でとりあえずこの当て方が1番かなという方法で今は管理しています。

その方法で管理を続け、現状は特に問題なく育てられています。

実際にこの環境下で育てている植物がどのように育っているかは定期的にYouTubeでご紹介していますので、LEDでどのように生長しているのか気になるという方はそちらの動画も合わせてご覧いただけると幸いです。

では今回の内容としては、まずぼくのLEDの当て方に関する基本的な考え方からお話しし、そしてタイトルにもある強光は危険だという理由についてご説明し、最後に実際の当て方をご紹介します。

この動画がLEDを買ってみたけど、どんな当て方をすれば良いのかイマイチわからないという方の参考になると嬉しいです。

ただあくまでELBAZ FARMなりのやり方・考えであり、またそれぞれの環境、そして使っているLEDによって当て方は変わってきますので、そんなあくまで参考程度にお読みいただけると幸いです。

それでは早速みていきましょう。

この記事の内容はYouTubeでもご紹介しています。

LED管理の基本的な考え方

ELBAZ FARMのLED栽培においての基本的な考え方は、柔らかな光を満遍なく当てる。

というものです。

強い光をガンガン当てる。

というようなことはしていません。

光を弱め、水やりの回数も減らし、全体的に控えめに育てるということを大事にしています。

ルクスを用いるのは植物育成において適切ではありませんが、分かりやすくルクスで表すと30,000〜50,000lx程度しかありません。

最近のハイスペックなLEDは距離を近づけることで晴天時の太陽光に近い100,000lx近くまで照射できるものもありますが、ELBAZ FARMでは強い光を当てずにあえて光を弱めて当てるようにしています。

※その理由についてはこの後ご説明します。

ちなみに植物が感じる明るさの単位であるPPFDで言うと、強いところで1,200μmol m-2 s-1程度、弱いところで750μmol m-2 s-1程度になります。

PPFDについてとルクスからPPFDを割り出す方法についてはこちらの動画で詳しくまとめていますので、そちらも合わせてご覧いただけると嬉しいです。

【植物育成LEDライト】植物ごとの目安となる照射距離を測る方法を解説本記事では植物育成LEDライトを使用した場合の照射距離の目安となる距離を算出する方法をご紹介します。...

話を戻し、ELBAZ FARMで使っているAMATERASもTSUKUYOMIも近づけて使えばかなり強い光を出すことはできます。

ただELBAZ FARMではデフォルトで付いている照射角を狭め強い光を照射出来るようになる反射版というものをあえて外して使用しています。

反射版を外すことで光は弱くなりますが、逆に照射角度を広げることができるようになります。

そのため、近距離で照射しても50,000lx程度の明るさになっています。

このように強い光を狭い範囲に届けるというよりも柔らかな光を広範囲に届けるということ何よりもまず意識しています。

強い光を当てない理由

ELBAZ FARMがLED栽培において強い光を当てない理由としては、強光をガンガン当てるのはリスクが高いと考えているからです。

植物栽培において大事なのは光・水・風のバランスですが、自然界のようにバランスを取るのは中々難しいことです。

バランスが崩れ何か一つが強くなる、もしくは弱くなるというのは何かしらの問題を引き起こします。

たとえばLEDを使った場合、光が強くなりがちです。

そうすると乾燥が早まり、植物はより多くの水分が必要になります。

アガベの場合そうなるとご存知の通り、徒長のリスクが高くなります。

逆に水分を切って育てると今度は葉焼けのリスクが高まります。

アガベを育てている方は強い光をガンガン当てて、水を辛めにして締めて育てたいと思う方も多くいらっしゃると思います。

ただ実は植物が吸収できる光の量には限度があります。

水を切った状態で強い光を当てていると光合成に必要な光エネルギー以上の光は余ってしまい、「活性酸素」というものが発生します。

この活性酸素は植物にとって有害なものです。

例えば活性酸素が発生することで、

  • 葉緑体を分解する
  • 細胞内の遺伝子変化を起こす

など色々悪さを働きます。

結果、細胞は死んでしまい葉が部分的に変色したり、枯れる…といういわゆる葉焼けの症状が出てきます。

通常であれば植物はこの活性酸素を除去する酵素を持っていると言われています。

ただ、水やりを忘れたり、締めるために水不足というストレスを与えると光合成ができなくなり、活性酸素の除去が追いつかなくなり葉焼けを起こす原因へと繋がっていきます。

葉焼けのメカニズムについては下記の記事でより詳しくまとめています。

アガベ(植物)の葉焼けはなぜ起こる?葉焼けが起きるメカニズムから対策を考える本記事では葉焼けが起きるメカニズムからその対策を考えいきます。...

前述の通り、植物を栽培するのに大事なのは光と水と風のバランスです。

特に植物育成ライトを使って室内で管理場合は光だけが強くなりがちです。

光だけが強いというのは植物にとってはストレスを感じることなので、水と風のバランスを意識した照射が大事になってきます。

もちろんスパルタに強光で水を辛くして作り込むことも出来るとは思いますが、そのやり方はリスクが隣り合わせということは頭に入れておいた方が良いかもしれません。

ちなみにそこまで光を強くしなくても十分鑑賞価値の高い姿を楽しむことは出来るとも思っています。

植物育成LEDライトの当て方

前置きが長くなりましたが、最後にELBAZ FARMでの実際の当て方についてお話ししていきます。

前述の通り、ELBAZ FARMの環境下では30,000〜50,000lx程度、PPFDでは多肉植物に最低限必要と言われている500μmol m-2 s-1を切らないようにしています。

高いところで1,200μmol m-2 s-1程度、低いところで750μmol m-2 s-1程度で管理しています。

そしてその光がすべての株に満遍なく行き届くように、株サイズに合わせてライトを設置しています。

そのためたとえば5号鉢以上の大きな株に全体的に光を当てるには、(スポット式のライトの場合)1灯につき1株が限界になってくると思います。

※照射角はそれぞれのLEDに書いてあると思います。

逆に小さい株は照射角内に出来るだけまとめてしまっています。

残念ながらLEDは空から燦々と照らす太陽光のように広範囲に光を届けることはできません。

そのため、少しでも照射範囲から外れると一気に光量が下がってしまいます。

満遍なく当たっているかどうか調べるには照度計があると便利です。

照度計を使えば、それぞれの株の位置で計測することで光が届いているかどうか確認することができます。

また株の背丈によって、照度がバラバラになるという場合もあるので、そういった場合は背の低い株にこのような台座を敷いて高さを上げるなどの工夫をするとバランスが良くなると思います。

ELBAZ FARMでも以前は強い光をガンガン当てれば良いでしょ。

と思っていた時期がありました。

しかやはり管理が大変になるのと、株数が増えるだけLEDもより多く必要になり限界を感じました。

そこから今の全体的に柔らかな光を当てるという方法に変え、だいぶ落ち着いた管理ができるようになったと感じています。

まとめ

本記事では植物育成LEDライトの当て方についてELBAZ FARMなりの考え方や管理方法をご紹介させていただきました。

冒頭でもお伝えしたように、それぞれの環境、そしてお使いのLEDによってやり方は違ってくると思います。

ただ、LEDにありがちな強い光をガンガン当てれば良いでしょ。という考え方以外にも今回ご紹介したようなやり方もあるということを頭のどこかに入れておくと良いかもしれません。

ELBAZ FARMでもこれからさらにLED栽培について研究を続けていきますので、そこで気づいたこと、また得た知識は都度共有できればと思います。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。